Netflixで2025年3月20日から配信が始まった海外ドラマ『ザ・レジデンス』。世界中で大人気のドラマ『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』『ブリジャートン家』のプロデューサー・監督・脚本家のションダ・ライムズが率いる制作会社ションダランドが手掛けるとあって、配信前から大きな注目を集めていました。
ホワイトハウスで死体が見つかるという特殊な状況で繰り広げられる人間模様と、先の読めないスリリングな展開に、ぐいぐいと引き込まれます。この記事では『ザ・レジデンス』の魅力を解説します。
※この記事は『ザ・レジデンス』の一部ネタバレを含みます。
目次
Netflix『ザ・レジデンス』あらすじ
物語の舞台は、アメリカ合衆国大統領官邸、ホワイトハウス。華やかな晩餐(ばんさん)会の夜、一人の男性職員の死体が発見されます。他殺の可能性が高く、容疑者はその場にいた大統領やその家族、国内外の要人、スタッフたち……なんと157名!
事件解決のために呼び出されたのは、少し風変わりながらも驚異的な観察眼を持つ女性探偵コーデリア・カップでした。
コーデリアは堅物なFBI捜査官エドウィン・パークとタッグを組み、この前代未聞の密室殺人の謎に挑みます。疑心暗鬼渦巻くホワイトハウスで、コーデリアは果たして真実を突き止めることができるのでしょうか?
「究極の密室」ホワイトハウスで起きた殺人事件
『ザ・レジデンス』の魅力は巧妙に張り巡らされた伏線、二転三転する容疑者像、そして各エピソードの最後に訪れる「え、ここで終わるの!?」というクリフハンガー。一度見始めたら、視聴が止まらないはず。
物語の舞台が世界で最もセキュリティが厳しいとされる(はずの)「究極の密室」ホワイトハウスというのも、『ザ・レジデンス』の面白さ。
『ザ・レジデンス』は書籍『使用人たちが見たホワイトハウス 世界一有名な「家」の知られざる裏側』(ケイト・アンダーセン・ブラウワー/光文社)から着想を得ているそう。
ホワイトハウスには政治とは無関係に、使用人や料理人・庭師などのスタッフが大量にいます。そんなスタッフ間のドロドロとした人間関係、権力闘争、大統領夫妻が抱える秘密。多くのキャラクターが登場しますが、意外とすんなり覚えられてしまうのが面白い『ザ・レジデンス』。この人々が織りなす人間ドラマが、物語に奥行きを与えています。
魅力的なキャラクターたちが織りなす、ユーモラスで骨太なミステリー
気の利いたセリフが多く、全体を通してユーモアが『ザ・レジデンス』全体を貫いています。オーストラリア首相・外相との晩餐会ともあって、唐突に『クロコダイル・ダンディー』をイジり始めたり、事件よりカイリー・ミノーグのショーを優先するスタッフがいたり(しかもカイリー・ミノーグ本人が実際に出演)。
『ザ・レジデンス』は事件の数カ月後に開かれたアメリカ議会の公聴会で、事件を見聞きしたホワイトハウスの現チーフ・アッシャー(総支配人)であるジャスミン・ヘイニーに議長たちが質問していくスタイルで語られていきますが、公聴会にも常に笑いが溢れています。
ただ笑い一辺倒ではないのが『ザ・レジデンス』の魅力。軽口を叩くようで確かな観察眼を持つコーデリアによって伏線がどんどん回収されていったり、新たな謎が出てきたり……と飽きさせません。
『ザ・レジデンス』の展開を支える豪華キャスト陣
『ザ・レジデンス』の大きな魅力の一つが豪華なキャスト陣の演技。
コーデリア・カップ (ウゾ・アドゥーバ)
本作の主人公。バードウォッチングに並々ならぬ情熱を注ぐ、型破りな探偵。鋭い洞察力と独特の捜査方法で事件の核心に迫ります。
演じるのはNetflix『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』での演技が高く評価されたウゾ・アドゥーバ。『ザ・レジデンス』の魅力の数割はアドゥーバの演技で生まれていると言って過言ではないでしょう。愛嬌のある仕草と、ここぞという場面でのカッコよさが魅力です。
A・B・ウィンター (ジャンカルロ・エスポジート)
ウィンターはホワイトハウスのチーフ・アッシャー(総支配人)であり、今回の事件の被害者。
『マルコムX』をはじめスパイク・リー監督作品の常連で『ブレイキング・バッド』のガス・フリング役で強烈な印象を残しました。Netflixシリーズ『ジェントルメン』でも謎多き大金持ちの紳士を演じています。他にもNetflix作品ではNetflixシリーズ『ベター・コール・ソウル』や、Netflix映画『エレクトリック・ステイト』に出演しています。
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エドウィン・パーク (ランドール・パーク)
コーデリアとコンビを組むことになる、生真面目なFBI特別捜査官。『アントマン&ワスプ』のジミー・ウー役などで知られるランドール・パークが演じます。型破りなコーデリアに振り回されながらも事件解決に尽力する姿は、物語の良いアクセント。
他にも、スーザン・ケレチ・ワトソン、ケン・マリーノ、ジェイソン・リーといった実力派俳優が脇を固め、それぞれが一癖も二癖もあるキャラクターを熱演しています。
ちなみにオーストラリア首相役のジュリアン・マクマホンは、実際のオーストラリア第20代首相ウィリアム・マクマホンの息子だそう。
※カイリー・ミノーグとは違い、作中に出てくる「ヒュー・ジャックマン」は本人ではないようです。
ションダ・ライムズが描く、新しい探偵像とミステリーの形
ミステリーのトリックはさまざまで「犯人は複数人」「犯人は語り手」「死んだとされた人が犯人」など、名作とされるミステリーは読む人(観る人)が唖然とするようなトリックを生み出してきました。
『ザ・レジデンス』は既存のドラマやミステリーのストーリー・テリング自体をオマージュ・パロディしているようにも見えるドラマです。
それが伺えるのが、『ザ・レジデンス』各話のサブタイトル。
- アッシャー家の崩壊(エドガー・アラン・ポーによる1839年の短編小説)
- ダイヤルMを廻(まわ)せ!(アルフレッド・ヒッチコック監督の1954年のミステリー映画)
- ナイブズ・アウト(ライアン・ジョンソン監督、ダニエル・クレイグ主演の探偵シリーズ)
- シーラ号の謎(ハーバート・ロス監督による1973年のミステリー映画)
- ハリーの災難(アルフレッド・ヒッチコック監督の1955年の映画。原作はジャック・トレヴァー・ストーリーの同名小説)
- 第三の男(キャロル・リード監督の1949年の映画。グレアム・グリーン脚本)
- 技師の親指(コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズシリーズの短編小説。1892年発表)
- 黄色い部屋の秘密(ガストン・ルルーによる1907年発表の長編推理小説)
単純にそれぞれの作品のトリックや展開をなぞっているわけではないにしても、モチーフにはなっています。例えば殺されたA・Bが無類の本好きだったのは『アッシャー家の崩壊』のオマージュに思えます。3話の『ナイブズ・アウト』は同名映画のように「ナイフ」がモチーフのお話。
※それぞれの映画の音楽もちらっと流れていたりします。
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数々のヒット作品を生み出してきたプロデューサー・脚本家のションダ・ライムズ作品に共通するのは、多様なキャラクター、マイノリティへの視線、そして何よりも「人間の感情」を深く掘り下げる点です。
『ザ・レジデンス』でもその作風は健在。単なる謎解きミステリーに留まらず、あえてじっくり話数をかけていろいろな立場・人種の人々の心理を見つめる作品にしたのだと思いました。
この作品の中ではホワイトハウスは巨大な「邸宅(レジデンス)」で、「家」。大人数のスタッフたちは独特の連帯で繋がっています。一方、強大な権力を持つ大統領やその家族・職員たちは選挙で入れ替わる。A・Bをはじめ多くのスタッフは家に仕えています。二つの「家族」の分断や対立が根底にはある。でも、うまくいかなくても何とかやらないといけない。対立を煽ったり、すぐ敵と味方を分けたりする人もいるけれども。
そんな中、主人公で探偵のコーデリア・カップが、独特の視点と価値観で、アメリカ大統領にもオーストラリア首相にもFBI長官にも怖気づかず風穴を開けていく様は、観ていて爽快になること間違いなしです。
まとめ
息を飲むサスペンスとユーモラスさが共存するNetflixオリジナルシリーズ『ザ・レジデンス』。ミステリーファンはもちろん、質の高いドラマを求めている全ての人におすすめしたい作品です。
個人的に毎回のグラフィックやスタッフロールの描き文字、ズームアウトするときの鳥瞰図(ちょうかんず)的な俯瞰(ふかん)映像など、映像表現も凝っているなと感じました。特に真正面から見下ろす「マフカン」が、人種も立場も一律で眺めるように、意図的に用いられていると思います。コーデリアの趣味、バードウォッチングもきっと意味がある設定なんですね。
『ザ・レジデンス』はもちろん「一体誰が犯人なのか?」が軸なのですが、観ているとさらに分厚い人間描写にきっと目が離せず、濃密な時間を過ごせるはずです。
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