没後40年を迎えた向田邦子の代表作を是枝監督が監督・脚色したNetflixシリーズ『阿修羅のごとく』(全7話)が2025年1月9日(木)から一挙配信されました。
舞台は1979(昭和45)年の東京。年老いた父の愛人問題をきっかけに、性格も生き方も異なる四姉妹の葛藤や秘密が露わになっていく物語です。各世代を代表する実力派俳優が集結した本作の見どころを紹介します。
※本記事はNetflixシリーズ『阿修羅のごとく』の一部ネタバレを含みます。
『阿修羅のごとく』とは
映画雑誌の編集者やラジオ番組の放送作家などを経て、テレビドラマの脚本家としてデビューした向田邦子。『時間ですよ』(TBS系)や『寺内貫太郎一家』(TBS系)、『あ・うん』(NHK総合)など、何気ない日常をユーモラスに描きながらも、人間の本質をじわじわと炙り出す筆致で国民的人気を誇りました。脚本家としてはもちろんのこと、エッセイストや小説家としても活躍し、没後40年が経った今も多くの作家に影響を与えています。
そんな向田邦子の最高傑作として知られるのが、1979年にNHK総合で放送されたテレビドラマシリーズ『阿修羅のごとく』。年老いた父の愛人問題に直面した姉妹の物語で、これまでも映画や舞台でリメイクされてきました。
今回、リメイクに挑むのは映画『そして父になる』(2013)や『万引き家族』(2018)などでメガホンを取り、『怪物』(2018)では「第76回カンヌ国際映画祭」クィア・パルム賞を受賞する快挙を達成した是枝裕和監督。向田邦子をリスペクトし、自身も現代を生きる“家族”の姿を描いてきた是枝監督の脚色によって、昭和が舞台でありながら、今にも通じるメッセージのあるホームドラマとして蘇っています。
軽妙な会話劇と毒気のあるストーリーに夢中
物語は東京に住む四姉妹の父・恒太郎(國村隼)に愛人がいると発覚するところから始まります。定年退職を迎え、母のふじ(松坂慶子)と穏やかに暮らしていると思っていたら、小学生の息子がいる女性のもとに足繁く通っていたのです。
当然、姉妹は困惑。母に伝えるべきか、どうやって愛人に父と縁を切ってもらうかなど、4人で頻繁に集まっては相談し合います。たまに話が脱線し、子どもの頃の思い出や他の人の悪口で大笑いしたり、些細なことからプチ喧嘩に発展したり……。仲が良いんだか、悪いんだか分からない、かしましい姉妹のドキュメンタリーを観ているかのようなリアルでユーモアに溢れた会話劇が本作の魅力。
その一方で、「みんな、ひとつやふたつ、うしろめたいとこ、持ってるんじゃないの」という綱子(宮沢りえ)の台詞が物語るように、4人には家族にも言えない秘密や悩みを抱えていました。
妻子ある男性と不倫関係にある綱子、夫の浮気を疑っている巻子(尾野真千子)、恋愛にいまいち踏み込めない滝子(蒼井優)、姉たちへの劣等感を抱えている咲子(広瀬すず)。そんな彼女たちの姿を通して、人間という生き物の業をまざまざと見せつけられているような、毒っ気のあるストーリーが癖になります。
『阿修羅のごとく』登場人物・キャスト
酸いも甘いも噛み分けた女性ならではの色気がある綱子、姉妹のムードメーカー的存在だけど時折ゾッとするような顔を見せる巻子、“ど”がつくほど真面目で少し潔癖なところがある滝子、勝ち気だけど実は繊細な咲子。性格も生き様もバラバラな四姉妹を演じるのは、各世代を代表する実力派の俳優陣です。
そんな四姉妹の悩みの種でありながら、どこか憎めない魅力を携えた男たちを演じるのは、これまた巧みな演技者ばかり。俳優たちによる火花が散るような演技の応酬も見どころの一つです。以下、主要な登場人物とキャストを紹介します。
綱子(宮沢りえ)
四姉妹の長女。夫に先立たれ、生け花の先生として生計を立てている。演じるのは、映画『父と暮せば』(2004)で「第47回ブルーリボン賞」主演女優賞、『紙の月』(2014)で「第38回日本アカデミー賞」最優秀主演女優賞など、数々の受賞歴を持つ宮沢りえ。妻子ある男性と不倫関係にある綱子が抱える葛藤と、そこから立ち昇る色気を体現しています。
巻子(尾野真千子)
四姉妹の次女。専業主婦で、会社員の夫と二人の子どもと暮らしている。演じるのは、2011年にNHK連続テレビ小説『カーネーション』ヒロイン役に抜擢され、映画『そして父になる』(2013)では「第37回日本アカデミー賞」優秀主演女優賞を受賞するなど、遅咲きながら存在感を示す尾野真千子です。悲喜劇を体現するような、コミカルで毒のある演技が圧巻。
滝子(蒼井優)
四姉妹の三女。図書館司書で、独身。演じるのは、映画『フラガール』(2006)で「第19回日刊スポーツ映画大賞」新人賞、『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017)で「第41回日本アカデミー賞」最優秀主演女優賞を受賞するなど、日本映画を牽引する蒼井優です。父親の浮気調査で知り合った勝又に惹かれつつも、恋愛に臆病な滝子の葛藤を繊細に映し出しています。
咲子(広瀬すず)
四姉妹の末子。レストランでアルバイトをしながら、ボクシングでチャンピオンを目指す恋人を支えている。演じるのは、是枝監督がメガホンを取った映画『海街diary』(2015)で注目を浴びた広瀬すず。『怒り』(2016)や『流浪の月』(2022)などで見せた体当たりの演技が高く評価され、映画俳優として欠かせない存在となっています。痛々しいまでの姿を映し出す演技に注目してください。
恒太郎(國村隼)
四姉妹の父。静かに定年後を過ごす。週に2日だけ知り合いの会社に出勤していると見せかけ、小学生の息子がいる女性のもとへ通っていた。
ふじ(松坂慶子)
四姉妹の母。
鷹男(本木雅弘)
巻子の夫で会社員。会社の秘書との浮気疑惑がある。
勝又(松田龍平)
興信所の調査員。滝子に恒太郎の浮気調査を依頼されたことをきっかけに知り合い、恋愛関係となる。
陣内(藤原季節)
咲子と交際中のボクサー。無名だったが、のちに大成する。
貞治(内野聖陽)
料亭の主人。妻子がありながら、生け花のアルバイトとして料亭にきた綱子と不倫関係となる。
まとめ
シリアスな設定ながら、実力派の俳優陣による会話劇で展開されるNetflixシリーズ『阿修羅のごとく』。悲劇と喜劇は表裏一体であることを本作は教えてくれます。2025年の幕開けを彩る日本発のNetflix作品にぜひご注目ください。
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