大根仁が脚本・監督を務めるNetflixシリーズ『地面師たち』（全7話）が、2024年7月25日に配信開始！ 本作は実在する事件をもとにした新庄耕の同名小説を原作に、不動産詐欺を働く“地面師たち”の、100億円の不動産を巡る駆け引きを描くクライム・サスペンスです。ダブル主演を務める綾野剛や豊川悦司をはじめ、日本の名優たちが曲者揃いの地面師たちを熱演する本作の見どころを紹介します。
※本記事は『地面師たち』の一部ネタバレを含みます。
Netflixシリーズ『地面師たち』とは
地面師とは、他人の土地の所有者になりすまして売却を持ちかけ、偽造書類を使って多額の金をだまし取る不動産詐欺を行う集団のこと。地面師詐欺は戦後の混乱期やバブル期に多発し、不動産取引に必要な書類の電子化が進んだことで一時期は沈静化するも、東京オリンピックの影響で土地の価格が上昇したことにより、再び横行し始めました。
そんな中、とある大手住宅メーカーが地面師詐欺グループに60億円以上を騙し取られる事件が発生。『地面師たち』はその事件をモチーフに、作家の新庄耕が描いたクライムサスペンスです。『エルピス-希望、あるいは災い-』（カンテレ・フジテレビ系）で演出を手がけた大根仁監督がNetflixで同作を映像化し、リアリティかつ血湧き肉躍る社会派エンターテインメントに仕上げています。
曲者揃いな『地面師たち』の登場人物・キャスト
地面師グループは複数人のメンバーで構成されており、それぞれが細分化された専門性の高い役割を担う劇場型の犯罪です。本作で描かれる地面師詐欺集団、そして演じるキャストもなかなかの曲者（くせもの）ぞろい。日本を代表する名優たちの鬼気迫る演技合戦は見応え十分です。以下、地面師詐欺集団のメンバーとキャストを紹介します。
辻本拓海（綾野剛）
ハリソン山中に一から育てられた「交渉役」の辻本拓海を演じるのは、実力派俳優の綾野剛です。物腰が柔らかく、脅迫や暴行はしないのに、凄まじい気迫で相手を従わせる辻本に綾野が憑依しています。一方、ある事件で妻子を失った辻本はどこか生ける屍のよう。ヒールに徹するのではなく、人間味も残した綾野の演技に注目してみてください。
ハリソン山中（豊川悦司）
2019年にハリウッド映画『ミッドウェイ』で日本軍の実在する将校を演じ、世界にその名を轟かせた豊川悦司が演じるのは、地面師詐欺集団のリーダー・ハリソン山中。彼は一見紳士的ですが、絶望に追い込まれた人間の表情に快楽を覚えるサディスティックな男です。豊川の静かな狂気を孕んだ迫真の演技に身震いすること間違いありません。
後藤（ピエール瀧）
印鑑証明書や身分証明書を偽造する「法律屋」の後藤を演じるのは、『全裸監督』『サンクチュアリ -聖域-』『忍びの家 House of Ninjas』など複数のNetflix作品でインパクトを残し、“ネトフリ俳優”とも呼ばれるピエール瀧。自らも交渉の席に着き、相手を威圧する露悪的なキャラクターを怪演しています。
麗子（小池栄子）
なりすまし役をキャスティングする「手配師」の玲子を演じるのは、小池栄子です。豊川悦司とは2006年の映画『接吻』で共演しており、豊川演じる無差別殺人の凶悪犯に惹かれる女性を熱演しました。今回は全く異なる役柄で共演。女だてらに裏社会で生き残ってきた麗子の気高さ、それでいてハリソンには逆らえない弱さの両方を表現しています。
竹下（北村一輝）
北村一輝が演じる竹下は、詐欺のターゲットとなる土地や所有者を調査をする「情報屋」。恐れ知らずでリーダーであるハリソンにも食ってかかりますが、それがのちに悲劇を招くことに……。ツワモノ揃いの詐欺師集団の中では一見小物感がありますが、薬物中毒者でもあり、何をしでかすか分からない恐ろしさを北村が体現しています。
思わず“地面師目線”になってしまうストーリー展開
「もっと大きな山を狙いませんか？ 死人がゴロゴロ出るような山です」
そんなハリソンの提案がきっかけで、100億円の不動産を巡る前代未聞の詐欺に乗り出した地面師詐欺集団。その過程ではハリソンの言葉通り、多くの死人を出します。時に容赦ないバイオレンス描写が映しだされ、思わず目を背けたくなる場面も。罪のない人々を絶望の淵に追い込む地面師詐欺の卑劣さが強調されています。
それにもかかわらず、つい地面師目線になってしまうのが本作の面白いところ。それを強く感じてしまうのは土地の売買契約を交わす場面です。契約時には土地所有者の本人確認が慎重に行われるので、なりすまし役の人は所有者の生年月日や干支など、その他諸々の個人情報を事前に暗記しておく必要があります。もちろん、詐欺なので失敗した方がいいに決まっているのですが……。なりすまし役の人間がちゃんと答えられるかどうか、ドキドキして手に汗握る不思議な体験を味わってみてください。
地面師たちを追う人・騙される人にも注目！
本作は単に地面師詐欺の実態を描いたものではなく、人間の欲望をあぶり出すドラマとなっています。地面師たちに利用され、騙される人たちにも欲望はあり、それゆえに大きな悲劇を招くのです。
知らないうちに自分の土地が100億円で売りに出される尼僧、詐欺に巻き込まれてしまう歌舞伎町のホスト、出世をかけて土地を探す大手ハウスメーカーの役員など、地面師たちを取り巻く人物もかなり個性的。松岡依都美、山本耕史、吉村界人、マキタスポーツといった名バイプレイヤーたちが一癖も二癖もあるキャラクターを演じています。
また本作では、リリー・フランキーと池田エライザ演じる地面師詐欺事件を追う警察官の動向も同時に描かれていきます。その執念の捜査の末に待ち受ける、痛快なラストに注目です。
まとめ
毎話気になるところで終わるので、一度観始めたら止まらないNetflixシリーズ『地面師たち』。「地面師とは何か」「どのような手口でターゲットを騙すのか」という点についても分かりやすく説明された上で物語が進んでいくので、知識がなくても十分に楽しめます。ぜひ週末などに、一気観してください！
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