2020年Netflixで大人気だった『愛の不時着』に続き、2021年5月現在、日本のNetflixランキングでTOP10に入り続けているのが韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』。
『ヴィンチェンツォ』はダークヒーローによるクライム(犯罪)モノであり、法廷モノ、サスペンス、人間ドラマです(けっこうコメディ成分も多め)。『ヴィンチェンツォ』はなぜ面白いのか? ストーリー展開や登場人物の魅力から掘り下げます。
『ヴィンチェンツォ』のあらすじ
韓国系イタリア人ヴィンチェンツォ・カサノは、イタリアマフィア・カサノ家のコンシリエーレ(顧問弁護士)。亡くなったボス・ファビオの後継者パオロとの方針の違いなどから、ヴィンチェンツォは母国・韓国へ。狙いは雑居ビル「クムガ・プラザ」に大富豪が遺した、莫大な金塊。ビルの立ち退きを拒否する住人たちや弁護士ホン・ユチャンと関わる中で、韓国社会を牛耳る大企業「バベル」との法廷闘争にヴィンチェンツォは身を投じていきます。
ヴィンチェンツォは目的を達成するためなら手段を選びません。“悪魔を追い出すのは悪魔だ”という彼のセリフにあるように 『ヴィンチェンツォ』はまさに「悪が悪を制する」物語なのです。
二転三転する展開。飽きさせない秘密は「マッシュアップ」?
なぜ『ヴィンチェンツォ』は人気なのか? 面白さの理由の1つは、二転三転するストーリー展開。第1話(1時間23分)の中でも、展開は目まぐるしく変わり、飽きさせません。冒頭はクールなマフィアもののようで、しばらくするとコメディになり、いつの間にか法廷ドラマが繰り広げられるようになります。
シリーズ全体を通しても
- ビルの立ち退き騒動
- 金塊をめぐる争い
- バベルの顧問法律事務所「ウサン」との法廷闘争
- ヴィンチェンツォの秘密
- 黒幕の謎
- ヴィンチェンツォとチャヨンの恋愛事情
……など複数のドラマが入り混じります。
「悪vs悪」のこの作品では、時に敵同士があえて手を組むこともあり、視聴者は予想を裏切られます。
音楽や効果音も工夫されていて、クールなヴィンチェンツォが汚いモノを触ってしまうシーンにあえて壮大なオペラのような曲が使われていたりします。
このように真逆の要素をマッシュアップすることで、視聴者の興味を引き寄せ続けるのです。
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K-POPの作曲手法にも通ずる『ヴィンチェンツォ』のマッシュアップ
「マッシュアップ」とは、「複数要素の混合」のこと。もともと音楽用語で、2つ以上の曲のボーカル・メロディや伴奏をつなぎ合わせる作曲手法のことです。
K-POPでは単一の曲だけではなく、音楽ジャンルのマッシュアップが一般的な手法になっています。
例えば韓国のアイドルグループ・少女時代の『I Got a Boy』では1曲の中でヒップホップ、ロック、EDMと目まぐるしく曲調が変化します。ジャンルのマッシュアップは聴く人を飽きさせず、商品以上の価値や解釈を生む効果があるようです(以上の内容はNetflix『世界の”今”をダイジェスト』シーズン1「K-POP」の回で観られます)。
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『ヴィンチェンツォ』が面白いのは、映像でこの「ジャンルのマッシュアップ」を意識的に取り入れている点です。
『ヴィンチェンツォ』の個性豊かすぎる登場人物とキャスト
『ヴィンチェンツォ』の面白さの理由の2つ目は、なんといっても登場人物のユニークさ。
ドラマを観ていくと、この「一座」を観ること自体が楽しくなっていきます。シリアスもコメディも振り切って演じる、キャストの魅力も合わせて紹介します。
ヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギ)
主人公ヴィンチェンツォはいつも高級スーツに身を包むクールな男……に見えながら、結構短気だったり人情を見せたりとギャップが魅力的な人物です。とはいえここ一番の頭のキレや容赦のない暴力性もあり、底のしれない怖い男でもあります。
ヴィンチェンツォを演じるのは、ソン・ジュンギ。主演した韓国ドラマ『太陽の末裔』は韓国で41.6%の高視聴率を記録し人気を確立しました。
ホン・チャヨン(チョン・ヨビン)
バベルの顧問法律事務所「ウサン」の優秀な弁護士で、ホン・ユチャンの娘。チャヨンとヴィンチェンツォは予期せぬ展開で手を組むことになります。
ころころ表情の変わるチャヨンの言動とヴィンチェンツォとのやり取りがドラマのかなりの部分を牽引しているといっていいでしょう。
チャヨン役のチョン・ヨビンはNefflix映画『楽園の夜』では『ヴィンチェンツォ』とはまったく違うキャラクターを熱演。Netflix新作ドラマ『Glitch(英題)』の出演も決まっている、今注目の俳優です。
チャン・ジュヌ(オク・テギョン)
チャン・ジュヌは法律事務所ウサンのインターン弁護士で、チャヨンの後輩。演じるのはアイドルグループ「2PM」メンバーで俳優のオク・テギョン。常にハイテンションで筋肉隆々の身体で動き回り、時折英語で本音をぶちまる、クセの強い人物です。
チェ・ミョンヒ(キム・ヨジン)
チェ・ミョンヒは凄腕の元検事で、ウサンに弁護士として転職。音を鳴らしてご飯を食べたり仕事場でエクササイズをしたりと自由奔放でガサツにも見えますが、仕事ではかなり用意周到かつ冷酷非情な人格を見せます。Netflixの人気韓国ドラマ『梨泰院クラス』ではヒロインの一人イソの母親役を演じています。
チャヨンの父、ホン・ユチャンは正義感あふれる人の良い弁護士ですが、演じるユ・ジェミョンは『梨泰院クラス』の「長家(チャンガ)」グループ会長で非常な経営者とはまったく違う姿を見せます。
その他にも『愛の不時着』の北朝鮮兵士ピョ・チス役のヤン・ギョンウォンや、同じ『愛の不時着』でヒロインの保険担当者を演じたイム・チョルスが良い味を出しています。
関連記事:Netflixで根強い人気、韓国ドラマ『愛の不時着』のあらすじ・キャストの魅力
全体的に顔芸が面白い俳優が脇を固めている気がします。複雑に練られたシナリオの中で動き回る登場人物の演技にもぜひ注目してほしいです。
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まとめ
SNSなどでさまざまな正義が日々ぶつかる現代だからこそ、正義ではなく悪が悪を懲らしめる『ヴィンチェンツォ』のストーリーが爽快感をもって受け入れられているのかもしれません。『ヴィンチェンツォ』は泣き・笑い・恐怖・恋愛、すべて詰まったエンタメ作品です。気になる方はぜひ第1話を観てみてはいかがでしょうか。
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