2022年夏に大ヒットしたNetfiixの韓国ドラマといえば、パク・ウンビンが主演を務める『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。本作は、自閉スペクトラム症の新人弁護士ウ・ヨンウがさまざまな困難を乗り越えながら、同僚とともに案件を解決に導いていくハートフルな法廷ドラマです。
6月29日から韓国のケーブルチャンネルENAの水木ドラマにて放送。同時にNetflixを通じて配信されるやいなや、韓国のみならず世界各国でTOP10入りを果たす爆発的人気を獲得しました。8月18日に最終回を迎えた後もその余韻と熱は冷めやるところを知りません。
本記事では、そんな『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のあらすじと登場人物を振り返りながら、ドラマの見どころをご紹介します。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のあらすじ
IQ164の天才的な頭脳でソウル大学のロースクールを首席で合格し、司法試験にもほぼ満点で合格したウ・ヨンウ(パク・ウンビン)。自閉症スペクトルであることから、どこの弁護士事務所にも採用されずにいた。そんな中、大手法律事務所「ハンバダ」に就職が決まったヨンウは、シニア弁護士のチョン・ミョンソク(カン・ギヨン)が率いるチームの新人弁護士として活躍することに。
ロースクール時代の同期であるチェ・スヨン(ハ・ユンギョン)、同期入社のクォン・ミヌ(チュ・ジョンヒョク)、訴訟チーム職員のイ・ジュノ(カン・テオ)。チームメンバーのフォローを得て、さまざまな案件を解決しながら、ヨンウは一人前の弁護士として成長していく。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の登場人物・キャスト
ウ・ヨンウ(パク・ウンビン)
本作の主人公。IQ164という頭脳に一度見たことは絶対に忘れないという驚異的な記憶力を持つ。ソウル大学の法学部を首席で卒業したのち、大手法律事務所「ハンバダ」に就職。チョン弁護士率いるチームのメンバーとして活躍する。
ヨンウ役を演じたのは、子役出身者のパク・ウンビン。2021年には時代劇『恋慕』で、王位継承者だった双子の兄の死により、男装して王となる運命を背負った女性を演じて話題となりました。今作では愛くるしい魅力でヨンウを演じ、ドラマを成功に導いています。
イ・ジュノ(カン・テオ)
「ハンバダ」の訴訟チーム職員。優しい性格のイケメンで、事務所内の女性人気が高い。ヨンウが困った時にはそっと手を差し伸べ、彼女が好きなクジラの話を喜んで聞いてくれる唯一の人となる。
俳優5人で構成されたアイドルグループ「5urprise」のメンバーとして、2014年のドラマ『放課後サプライズ』で俳優デビューを果たしたカン・テオ。2019年には『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』で悪役を演じて話題となりましたが、今作では一転、ヨンウを見つめる暖かい眼差しが印象的です。ヨンウに対するジュノの「さみしいな……」という台詞で視聴者の心を射止め、国民ソッソプナム(全国民が認める寂しがりな男)とのあだ名で親しまれています。
チョン・ミョンシク(カン・ギヨン)
ヨンウの上司となる「ハンバダ」シニア弁護士。当初は自閉症スペクトルを持つヨンウの採用には反対だったが、その実力と熱意を知って以降は良きメンターとして彼女を支えていく。
演じたのは、2009年に演劇「悪い磁石」でデビューしたカン・ギヨン。2019年に放送された『十八の瞬間』以来、3年ぶりのドラマ復帰となりました。優秀な弁護士である一方、どこか隙があって親しみやすいチョン弁護士は、SNSでも“理想の上司”としてその名が挙げられています。
とある案件で後輩たちとラップに挑戦したり、寝ているところをヨンウに起こされたり、周囲に振り回されがちなところもキュート!
チェ・スヨン(ハ・ユンギョン)
「ハンバダ」の新人弁護士で、ヨンウとはロースクール時代の同期だった。ジュノのことが気になっている。正義感が強く、ヨンウの才能に嫉妬しながらも、彼女に対する偏見や差別に共に立ち向かってくれる頼もしい存在。そんなスヨンに、ヨンウが付けたあだ名は”春の日差し”。
スヨンを演じたハ・ユンギョンは、2015年に映画『ソーシャルフォビア』でデビューを果たしました。韓国の人気ドラマ『賢い医師生活』で演じた神経外科レジデントのホ・ソンビン役で人気を博し、今作でさらに注目を集めています。
クォン・ミヌ(チュ・ジョンヒョク)
ヨンウにライバル心を燃やす「ハンバダ」の新人弁護士。“腹黒策士”というあだ名を持ち、ヨンウに対しても姑息な嫌がらせをする。
ミヌ役のチュ・ジョンヒョクは中学生の頃にニュージーランドへ留学。そのまま、現地のオークランド工科大学へと進学し、在学中に俳優になるため韓国に帰国しました。今作では悪役的立ち位置で、演技力の高さゆえに視聴者からは批判の声もあったそう。
しかし、ミヌの中に根付くヨンウに対する偏見や歪んだ感情は、誰しもがどこかしらに持っているもの。共感できる部分も多くあり、全話を見終わるとミヌのことも好きになっているはずです。
ウ・グァンホ(チョン・ペス)
ヨンウを男手一つで育ててきた父親。ヨンウと同じくソウル大学法学部出身で、現在はキンパ専門店を営んでいる。「ハンバダ」の代表ハン・ソニョン(ペク・ジウォン)は大学の後輩。
名脇役として知られるチョン・ペスは今作でも、味のある演技でドラマに色を添えています。特に障害の特性上、人に対する関心が薄いヨンウと、寂しさを抱きながら根気強くコミュニケーションを取る姿が感動を呼びました。父娘のコミカルなやりとりも今作の癒しポイントです。
トン・グラミ(チュ・ヒョニョン)
ヨンウの高校からの友人。キム・ミンシク(イム・ソンジェ)が営む小さな居酒屋でアルバイトをしている。高校時代のあだ名は“サイコ”で、エキセントリックな行動から問題児扱いされていた。
今作で見事ブレイクを果たしたチュ・ヒョニョン。あの世界的人気グループBTSをはじめ、YouTubeやTikTokで真似をする人が続出した「ウ to the ヨン to the ウ」「ドン to the グ to the ラミ」「ハ!」という、ヨンウとグラミの恒例の挨拶を考えた人物でもあります。
演じているウンビンとヒョニョンの年齢は少し離れていますが、それを感じさせないほど息がぴったり合った二人のやりとりにも注目してください。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の見どころ3選
現実的、だけど優しい眼差しに溢れた世界観
自閉スペクトラム症とは、「人と関わることが苦手」「興味・関心のかたより」「特定の行動を繰り返す」といった特徴が見られる発達障害のひとつ。日常生活上の困難を抱える一方で、特定の分野に突出した才能を発揮することがあり、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のヨンウもその特徴を持つ一人です。一度見たことは絶対に忘れないという驚異的な記憶力と法律を愛する気持ちが、彼女を韓国初の自閉スペクトラム症の弁護士へと導きました。
正直でまっすぐ、一生懸命な姿、そして案件を見事に解決するヨンウの独創的な閃きには惹きつけられます。見ているこちらも応援したくなるし、最初は障害に偏見を持っていた人たちも彼女と関わるうちに少しずつ変化を見せ、フォローに回っていきます。完璧な人間などこの世には存在しない。大切なのは、違いを認め、足りないところを補い合って生きること。彼らの姿を見ているとそう思わされます。
もちろん、きれいごとだけが描かれるわけではありません。
ヨンウが作中で語るように、ナチス政権下では「生きる価値がない」として多くの障害者が虐殺されました。日本でも2016年に同じような理由から障害者施設の入所者が殺傷される事件が起きたように、優生思想は未だ根強く残っています。でも生きる価値があるかないかなんて、他人が決めることじゃない。ヨンウも、被告人となった青年も日々を慈しみながら生きている。そして、本作はそんな彼らを愛する人がいることを丁寧に映し出した作品です。
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純度100%なヨンウとジュノのロマンスに釘付け
「私の名前は英祐(ヨンウ)と書きます。意味は、花のように美しい福の子。でも賢く愚かな怜愚(ヨンウ)のほうが私に合うのでは」
これは第3話の事件で偏見にさらされ、自分には価値がないと思ったヨンウがこぼした台詞です。人より優れた能力を持つ一方で、回転ドアをうまく通ることができなかったり、時と場合を選ばず、大好きなクジラのことを話し始めると止まらなくなってしまったり。苦手なことももちろんあります。
そんな彼女にいつも手を差し伸べてくれるのが、訴訟チームのジュノ。ワルツを踊るリズムに乗って回転ドアを通る練習に付き合ってくれて、ヨンウのクジラの話にもめんどくさがらずに耳を傾けてくれます。ヨンウが一人前の弁護士になっていく姿と並行して描かれる二人のロマンスも、本作の見どころです。
しかしそこで課題となってくるのが、心を通じ合わせるということ。ヨンウの父・グァンホが自分に無関心なヨンウに対して「寂しい」と零す場面がありますが、ジュノも同じ気持ちを味わうことになります。
ヨンウもまた障害を持つ自分がジュノを幸せにできるのか、葛藤することに。だけど、ジュノは寂しさを含めてヨンウと過ごす時間を幸せだと思ってくれて、彼女なりの愛を認めてくれるのです。思わず「尊い……!」と叫んでしまう、二人の純度100%なやりとりにも注目してみてください。
毎話深い。現代社会のあり方を問う弁護士案件
本作は基本的に1話完結のオムニバス形式となっていますが、そのどれもがヨンウの担当する案件を通して現代社会のあり方を問う内容となっています。
例えば同性の恋人がいながら父親に逆らえず政略結婚させられた女性や、脱北した後に暴行事件を起こした母親、尊敬する兄たちに騙されて正当な財産を分与されなかった男性など。マイノリティや、弱い立場に置かれた人たちが作中で描かれています。それらは韓国社会が抱える諸問題を映し出したものでありながら、国境を越えて、私たちにも課題を定義しているように思います。
「勝つだけの有能な弁護士になりたいですか、真実を求める立派な弁護士になりたいですか」。これはとある事件で真実よりも依頼人と事務所の利益を優先してしまったヨンウに送られてきた手紙の内容です。
そんな失敗と間違いを繰り返しながら、法の下で何とか正義を貫こうとするヨンウ。ドラマの内容も、そこに出てくる登場人物も内省的な視点を持って、真摯に今の社会と向き合ってくれるからこそ、誰もが安心して観ることができるのでしょう。
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まとめ
愛くるしいキャラクターとともに、現代社会のあり方を問い直す『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。いろいろなことを考えさせられますが、決して堅苦しくなく、ヨンウとジュノのロマンスを含めてヒーリング効果抜群の作品です。
ぜひチェックしてみてください。
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