有村架純が主演の映画『ちひろさん』が2023年2月23日より全国劇場にて公開。同時にNetflixで独占配信となりました。
『ちひろさん』は、秋田書店発行の月刊漫画雑誌『Eleganceイブ』で2013~2018年連載された安田弘之による同名漫画を『愛がなんだ』『窓辺にて』などの今泉力哉監督が実写映画化。とある海辺の街を舞台に、小さなお弁当屋で働く「ちひろ」と色んな孤独や生きづらさを抱える人々との交流を描いたヒューマンドラマです。
ゆっくりとした時間が流れる優しい世界に毒がピリリと効いた本作の魅力を紹介します。
※本記事は『ちひろさん』の一部ネタバレを含みます。
目次
映画『ちひろさん』のあらすじ
とある海辺の街にちひろという“源氏名”を名乗る女性がやってきた。小さなお弁当屋で働き始めたちひろは色眼鏡で見られそうな過去も隠さず、ひょうひょうと生きる。
やがてみんなから“ちひろさん”と呼ばれ、慕われるようになる彼女の元にやってくるのは、母親からの愛情に飢えた小学生、家族にも友人にも本音が言えない女子高生、過去の父子関係に苦悩し続ける青年など、色んな孤独や生きづらさを抱える人々。誰にでも分け隔てなく接する彼女の素っ気ない言葉と態度が彼らの心を不思議と癒していく。
『ちひろさん』の登場人物
ちひろ(有村架純)
本作の主人公。小さなお弁当屋「のこのこ弁当」で働くちょっと口が悪くて、マイペースな女性。偏見を持たれかねない過去も隠さず、ひょうひょうと生きているが、実は幼い頃の家族との関係から孤独を抱えている。
オカジ(豊嶋花)
厳格な家庭で育った女子高生。家族にも友人にも本音が言えず、息苦しさを抱えている。そんな中、自由奔放なちひろの姿に元気をもらい、こっそりと彼女の写真を撮るようになる。
マコト(嶋田鉄太)
口も態度も悪い男子小学生。その実、シングルマザーで自分を育てる母・ヒトミからの愛情に飢えている。
谷口(若葉竜也)
のこのこでよくお弁当を買う無口な青年。建設作業員。父親との確執を抱え続け、過去の父子関係に苦悩する。
ヒトミ(佐久間由衣)
夜のお店で働きながら、マコトを育てるシングルマザー。ちひろがマコトにお弁当を与えていることを知り、のこのこに乗り込んでくる。
宇部千夏(長澤樹)
オカジと同じ学校の女子高生だが、不登校気味。毎日ほぼ学校に通わず、廃墟で大好きな漫画を読んでいる。
バジル(van)
ちひろとは旧知の仲であるトランスジェンダーの友人。ショーパブの歌姫でありながら、内海が営む熱帯魚店で働き始める。
内海(リリー・フランキー)
ちひろの過去に携わる男性。元いた世界から足を洗い、現在は熱帯魚店を営んでいる。ちひろを今も気にかけてくれる父親のような存在。
チヒロ(市川実和子)
ちひろが幼い頃に偶然出会い、その後の人生にも大きな影響を与える不思議な女性。ちひろが“ちひろ”という源氏名を使うきっかけにもなった。
ホームレスのおじさん(鈴木慶一)
千夏から“師匠”と呼ばれるホームレスのおじさん。子供たちにからかわれていたところをちひろに助けられて以降、一緒にお弁当を食べるようになる。
多恵(風吹ジュン)
のこのこ弁当の店長・尾藤の妻。自身ものこのこで働いていたが、現在は病気で視力を失い、入院している。ちひろを本当の娘のように可愛がる。
尾藤(平田満)
のこのこ弁当の店長で多恵の夫。ちひろの過去を知ってもなお、とある理由から彼女を雇う。
永井(根岸季衣)
のこのこ弁当のパート主婦。ちひろに対して冷たく当たるが、実は彼女のことを気にかけている。梅干しを作るのが得意。
“恋愛映画の旗手”が描く孤独を愛する主人公
恋愛に依存気味な20代女性による究極の片思いを描いた2019年の映画『愛がなんだ』で注目を浴びた今泉力哉監督。以降発表した『街の上で』『窓辺にて』もヒットを飛ばし、今や若者を中心に“恋愛映画の旗手”として絶大な支持を集める今泉監督ですが、最新作『ちひろさん』の主人公は純粋な恋愛とは距離を置き、孤独を愛する女性です。
年齢も性別も肩書きもバラバラ。だけど、等しく生きづらさを抱えた登場人物たちがなぜか不思議と彼女の元に集まってくる……。そう聞くと、なんだかマザーテレサのような愛に溢れた女性を想像するかもしれませんが、ちひろさんはある種の“つめたさ”を持っています。
誰に対しても平等に接するということは反面、誰かの特別にもならないし、誰かを特別視することもないということ。そんな彼女と一緒にいると寂しくなるけれど、その混じり気のない態度と言葉に癒されることもある。つめたくてあたたかい、不思議な主人公に魅了されること間違いありません。
ミステリアスな有村架純が“ちひろさん”に息吹を与える
そんな主人公のちひろを演じるのは、映画やドラマで幅広く活躍する有村架純。これまで様々な役を演じてきた彼女ですが、その多くが影のある女性でした。何か言えない過去があったり、心に傷を抱えていたり。その人が普段は隠している、本来ならば目には見えない部分を有村さんは繊細な芝居で表出させる役者です。
今回演じるちひろも常にひょうひょうとしていて、一見悩みなんてなさそうだけど、実は幼い頃の家族との関係から、孤独を抱えたまま生きています。子どもみたいだけど色気があって、見つけたとある死体を一人で土に埋めてしまうような、時にゾッとするような恐ろしさも持ちあわせている複雑なキャラクター。先に言っておくと、映画を最後まで見てもちひろさんが生きてきた道のりが全て明かされるわけではありません。
一方、有村さん自身、どんな人も笑顔で受け止めてくれるような柔らかい雰囲気を持っているにもかかわらず、掴めそうで掴めない部分があります。そんなミステリアスな有村さんだからこそ、原作全9巻をもってしても知り尽くせない、知れば知るほどわからなくなるちひろさんに息吹を与えることができたのでしょう。
まとめ:「毒薬変じて薬となる」な映画『ちひろさん』
「毒薬変じて薬となる」ということわざがあります。これは、「毒薬も使い方次第では良薬になる」という意味です。ゆったりとした時間が流れる優しい世界観の中で展開されていくこの物語にも、時折ピリッとするような毒が効いています。だけど、その毒が観る人の心を癒していく。そんなまさに「毒薬変じて薬となる」な映画『ちひろさん』をぜひNetflixでいつでもお楽しみください。
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