『シェフのテーブル』は世界各国のスターシェフ一人に焦点をあて、その腕前やこだわり、世界観に迫っていくドキュメンタリー。2015年にシーズン1から2024年11月27日配信開始のシーズン7まで続く人気シリーズです。美麗な映像や斬新なレシピ・おいしそうな料理に加え、シェフの一皿やお店の在り方から世界や社会の事情が垣間見えてくる、見応えのある作品になっています。
料理をめぐる美しい映像の数々
『シェフのテーブル』に出てくるのは一流のスターシェフがつくる最高の料理ばかり。
さらに料理の色彩・質感、テーブル、クロス、食器、店の内観・外観……が美しい映像で紹介されていきます。
チーズソースがどろりと垂れ落ちるさまをクローズアップで撮ったり、ウェイターがてきぱきとカトラリーを並べていく様子をタイムラプスで魅せたりと、あまり他の料理番組では見たことのないような、見応えのある映像が続きます。
見ているとお腹が減ってくる上、映像の美しさに魅せられること間違いなし。
社会が反映される一皿
『シェフのテーブル』に登場するシェフは「スターシェフ」とされる人たちで、有名評論家やグルメ雑誌の評価が高かったり、ミシュランで星を獲得したり、確かな味とポリシーがあったり、多くの人の支持を受けている料理人ばかりです。
スターシェフが一皿の料理にかける思いは味や見た目へのこだわりだけではありません。地元の食材を使うことや、伝統的な料理・調理法、既成概念への挑戦もあります。使う肉・魚・野菜へのこだわりは、ときに新しい市場を開いたり、終わりかけた産業を蘇らせたりすることにつながります。つまりその一皿で経済も動く。『シェフのテーブル』を観ていると、料理の一皿には民族性や歴史、思想、家族の愛……社会が反映されていることが分かってきます。シェフの人生と店がつなぐ人間関係が凝縮した料理を味わいたくなってくるのです。
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『シェフのテーブル』おすすめエピソード
『シェフのテーブル』の魅力が分かる、おすすめエピソードを3つ紹介します。
シリーズ1「マッシモ・ボットゥーラ」
ミシュランの三つ星や「世界のベストレストラン50」1位など、高い評価を得るイタリア・モデナのレストラン「オステリア・フランチェスカーナ」のマッシモ・ボットゥーラ。東京・銀座にグッチとコラボしたレストランも開設する、スターシェフです。
今では世界で知られる一流料理人のマッシモ・ボットゥーラですが、モデナで店を開いた1990年代からしばらくはまったく評価されない日々が続きました。パスタを使わずラザニア表面のカリカリとした香ばしさを強調した「ラザニアのカリカリした部分」という料理の発表をはじめ、伝統料理の革新に挑戦するボットゥーラに批判が相次ぎます。しかし2001年4月にイタリアで一番有名な評論家に「発見」されグルメ雑誌『エスプレッソ』で絶賛されるや、一気にスターシェフとなったのでした。
2012年5月にモデナを襲った地震で保存庫が倒壊しダメになりかけたパルミジャーノ・レッジャーノ約36万個をリゾットとして使うことをチーズ組合を通じてイタリア中に呼びかけ、世界中でそのレシピを作れるようにしたボットゥーラ。4万人もの人が彼のレシピでリゾットつくり、ボットゥーラは「レシピが社会を変えたんだ」と語り、今もフードロスに取り組み続けています。
第4部:スイーツ編「クリスティーナ・トシ」
個人的に大好きなエピソードが、『シェフのテーブル 第4部:スイーツ編』のクリスティーナ・トシ。
アメリカ・ニューヨークの人気店「ミルク・バー」の創業者トシは、会計士の母と農務省の職員の父の元に生まれ、常に「A」評価を求められる学生時代を過ごしていました。「毎日スーツを着て過ごすのは嫌。朝起きて一番したい仕事は何か?」と考え、お菓子づくりにたどりついたトシは料理学校に通いながらレストランで働く日々を送り始めます。
書類仕事で雇われた「モモフクヌードルバー」で、まかないの「味噌クラックパイ」をつくるとその才能を見いだされ、試食専門レストランのデザート部門を任せられることに。「上品だけど準備が簡単なデザート」として、フレーバーミルクを作ろうとしたトシは珍しいけどみんなが好きな味として「シリアルの最後に残るミルク」味を思いつきます。その後シリアルミルク味のアイスを出すと大ヒットし、一躍スターシェフになるトシ。
一度は母と袂を分かったトシですが、根底にあるお菓子づくりの思い出は母や祖母と紡いだもの。その勤勉さも両親から受け継いだものと分かり、家族と料理と仕事が結びついていく展開に感動せずにはいられません。
シリーズ6「シーン・ブロック」
社会や家族と一皿がつながっていく『シェフのテーブル』の極地ともいえるのが、シーズン6の「シーン・ブロック」の回。1本の映画を見るような感動が押し寄せてきます。
アメリカ南部のサウスカロライナ州チャールストンで高級レストラン「マクレーディーズ」と、家庭料理「ハスク」の料理長・オーナーを務めるシーン・ブロック。2010年にはアメリカ南東部の最優秀シェフに選ばれています。
南部特有の植物・豆の種が失われ、料理にまつわる文化や土地とのつながりが消えつつある状況を打破すべく、一流シェフになるために全力を注いできたシーン・ブロック。南部料理と現代料理を組み合わせた仕事は高評価を得ますが、過労により重傷の筋無力症を発症し、視界が定まらなくなってしまいます。2年近く仕事ができず、自暴自棄になり酒浸りの日々を過ごしますが、親しい人の支えで復活。
絶滅しかけている赤トウモロコシ「ジミー・レッドコーン」など畑作業を繰り返すなかで思い出したのが、祖母との思い出。祖母の家で育てていたトウモロコシやその収穫法……それがジミー・レッドコーンブレッド(トウモロコシのパン)として昇華されます。
リンピン・スーザン(オクラのピラフ)、ホッピンジョン(豆やベーコンの炊き込みご飯)など地元の人の話を聞いてはレシピにし、やがてバルサミコ酢やビネガー、塩、小麦粉も自分たちでつくるように。
シーン・ブロックは革新的な伝統料理をつくることで、南部特有の伝統品種の農家を存続させ、子どもの頃から好きだった風景を守り続けています。
まとめ
世界中のスターシェフがそれぞれのこだわりでお店や料理を作りあげる過程を知ることができる『シェフのテーブル』。そのこだわりに詰まった、歴史・思想・社会や家族との思い出など、料理の奥深さに改めて気づかされます。美しい映像で世界各国を旅行する気分を味わえるのも魅力です。
『シェフのテーブル』には「BBQ(バーベキュー)」「フランス」「ヌードル」「ピザ」などテーマを絞ったスピンオフシリーズもあります。ぜひ気になる料理やエピソードから見始めてみてください。
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【Netflixシリーズ『シェフのテーブル』シーズン1~7独占配信中】
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