安田大サーカスの団長安田こと、安田裕己さんが熱狂した作品は、2023年6月より配信中のNetflixシリーズ『ツール・ド・フランス: 栄冠は風の彼方に』です。世界一過酷といわれる自転車レースの裏側を映し出した本作を、トライアスロンにも出場している安田さんはどのように観たのか。作品の楽しみ方やご自身が感動したポイントを教えていただきました。
『ツール・ド・フランス: 栄冠は風の彼方に』とは
「ツール・ド・フランス」は、1903年に始まり、毎年7月にフランスで行われる歴史的な自転車ロードレース大会です。選手たちは距離にして3300km前後、高低差2000m以上の起伏に富んだコースを23日間(うち2日は休息日)かけて走り抜きます。
そんな、FIFAワールドカップやオリンピックと並んで、世界三大スポーツイベントとも称される「ツール・ド・フランス」の2022年大会に密着したのが本番組。全21レースを最も少ない時間で走り抜け、総合優勝者の証である“マイヨ・ジョーヌ(黄色いジャージ)”に袖を通すのは誰なのか。大会に携わったさまざまな人たちの目線から、世界一過酷な自転車ロードレースの裏側を紐解きます。
8話の中で選手も成長するし、自分も成長する
ーー改めて「ツール・ド・フランス」とは、どのような大会なのでしょうか?
世界最高峰の自転車ロードレースで、1日1ステージ。150km〜200kmの距離、時には富士山レベルの獲得標高(コース上の最高地点からスタート地点の標高を引き算したもの)がある激しいレースを23日間に21ステージもこなす過酷な大会です。
当然、足を痛める選手もいますし、落車はしょっちゅう。一応ヘルメットの着用義務はあるんですが、通気性を重視したジャージに防護機能はないのでほぼ裸と思って間違いないです。だから転んで怪我をして、血まみれになりながら、人によっては骨折しても走破を目指す。そんなある意味、地獄のような大会ですね。
ーーなぜ、選手はそこまでこの大会に固執するのでしょうか。
世界最高峰の自転車ロードレースだから。本当にそれだけだと思います。サッカーでいうFIFAワールドカップ。あるいはオリンピックのような、自転車選手なら誰もが夢に見るような大会だからです。
ーー消費カロリーも凄そうですね。
やっぱり1レースを4〜6時間かけて走るので、水分補給は必須。レース中にエネルギーを補給するために食事を取ったり、トイレに行ったりもします。1レースで大体8000kcalくらい消費すると言われていて、成人男性が1日で必要とするカロリーの約4倍ですね。
ーーそんな過酷なレースをこの作品はどう描いてるのでしょうか?
ドキュメンタリーなんですけど、見せ方がすごく上手で、生でスポーツを見ている時の高揚感も味わわせてくれるし、人と人との関わり合いやスポーツ選手の体と心の成長も見られるヒューマンドラマのような作品になっています。スポ根漫画って、主人公がどんどん成長していく過程が見れるから面白かったりするじゃないですか。それがこの番組に関してはリアルに行われているというところに、より感動するんですよね。
ーーまるで実写版『SLAM DUNK(スラムダンク)』のような。
僕は『スラムダンク』は映画から入ったタイプなんですけど、たしかにあれに近い感動があります。人間が葛藤しているところを見ると、やっぱり応援したくなりますよね。大けがを負って、もう自転車も怖くなって、心までズタボロになった状態からどうやって復活していくのか。「なんでそんな弱気なことを言うねん。あーもう腹立つな!」からの、「あれ、いつの間に大人になったんや」っていう、成長の過程をしっかり見せてくれるんです。8話目で突然大きな感動があるんですけど、1話1話ちゃんと次に気になるようなストーリー仕立てにしてくれているのでむちゃくちゃオモロイっす。途中で気持ちが折れて見なくなっちゃう作品もあるけど、これに関してはイッキ観でしたね。
ーー大会のルールが分からなくても大丈夫?
大会自体面白いんですけど、初見だとなかなかついていけないと思うんですよ。だから初心者の方はこの作品を観てからの方が分かりやすいし、より楽しくレースを見れると思います。全8話の中で選手も成長していくけど、観ている自分も成長するんです。「あーこういうもんなんや」って学べるところが多々ある。例えば、自転車のロードレース大会って、要は「マラソンの自転車版でしょ」って思うじゃないですか。でも実はこれ、チーム戦なんです。各チーム9人いて、エースと呼ばれる選手以外は基本的に全員アシスト。その8人で戦略を練って、エースを勝たせるのが「ツール・ド・フランス」なんです。エースのためなら自分の飲み水も自転車も差し出す。それがまた感動するんですよね。
一番感動したのはアシスト選手の葛藤と成長
ーー安田さんが最も感動したシーンを教えてください。
色々あるんですが、僕が特に感動したのは「ユンボ・ヴィスマ」というチームに所属する選手ワウト・ファンアールの成長です。この大会では総合優勝者に“マイヨ・ジョーヌ”と呼ばれる黄色いジャージが与えられるんですが、タデイ・ポガチャルという前年度、前々年度優勝者の圧倒的な強さを誇る選手がいるんですね。
じゃあ、どうやってこいつを負かすのかって時に大事になってくるのが先ほども言ったアシストの力。個人で立ち向かっても絶対に勝てない相手を総攻撃で崩していく。その中でアシストが活躍するんですが、特にエース級のアシストを見せるのがワウトなんです。
ーー ワウトはもともと、どういう選手だったのでしょうか。
やっぱりアシストとはいえ、自分が勝ちたいっていう気持ちも当然あるじゃないですか。だけど、ポガチャルを倒すためには「ユンボ・ヴィスマ」のエースであるヨナス・ヴィンゲゴーを勝たせなきゃいけない。そのためには自分の勝利を捨てなきゃいけない瞬間も出てくるんです。
だけどワウトは元々自分のレースをしたがる選手で、俺だって勝ちたいやん!って気持ちがあるわけですよ。そんなワウトが大会の中で成長して、自分の勝利を犠牲にしてでもヴィンゲゴーを勝たせるために動く瞬間は涙なしには見られません。必ずファンになると思いますよ。
ーースポ根漫画でも、ずっとぶつかり合っていたチームメイトが最後に力を合わせて敵チームに立ち向かっていく展開がありますよね。
スポ根漫画のようなことが本当に起きてるっていうところがこの作品の素晴らしいところだと思います。他にもたくさんの選手をピックアップしていて、怪我を負ったり選手の復活劇だったりエースの取り合いだったり、本当に色んな人間ドラマがありますね。
ーー最後にユンボ・ヴィスマはどのようにポガチャルへ立ち向かっていくのでしょうか。
それはもうアシスト全員でポガチャルにアタックして、彼のペースを乱すわけですよ。一方、エースであるヴィンゲゴーもここで勝たなきゃそこまでしてくれたみんなの気持ちを踏みにじることになるから、頑張らなきゃいけないというプレッシャーを背負っている。さぁ絶対的王者のポガチャルに勝てるのか。どうだ、いけるか。よっしゃーきたー! ヴィンゲゴー! です。彼が勝利した瞬間に思わず立ち上がりそうになりましたね。ワールドカップで日本が優勝した時と同じような高揚感がありました。
この作品でパワーをチャージ!自転車に興味がない人にも観てほしい
ーー改めて作品を通して何か感じることはありましたか?
僕もトライアスロンをやっているので、色々怪我をして「ここが痛い。あそこが痛い」って気持ちが折れそうになる瞬間がいっぱいあるんですよね。この作品でも、プロの選手たちが同じように痛いとかしんどいとか赤裸々に語っていて。それでも痛みに耐えながら走っている。その姿を見たら、頑張るしかないなって思いますよね。
ーースポーツをしている人以外の方にも刺さる部分はありますか。
スポーツだけに限らず、色んなことに対して頑張れる気持ちになるんじゃないかなと思います。だってこれに出てる人、みんな頑張ってるんですよ。例えば、「ここで負けたらスポンサー撤退して全員クビだぞ」みたいなシーンもあるんです。そういう金銭的な事情はスポーツをしていない人でも共感できるし、色んな角度から自分の心に突き刺さってくると思います。
ーー最後にどんな方にこの作品を観て欲しいですか?
自転車が好きな人はもちろんですが、そうじゃない人にも観てほしいですね。「ツール・ド・フランス」を見たことない、よくわからないっていう人もこの作品から入るとわかりやすいですし、今まで見てた人たちも新たに選手の内面的な部分も知れてより楽しめると思います。そうすれば新たな趣味がもう一つできると思いますし、なんかモヤモヤしてる方や自分を奮い立たせたい方もぜひこの作品を観て、パワーをチャージしてください!
今回の記事は「eo光チャンネル」で放送中の番組『Netflix Freaks』の連動企画。団長安田さんが熱く作品について語ってくれた動画も合わせてご覧ください!
【Netflixシリーズ『ツール・ド・フランス: 栄冠は風の彼方に』はこちら】
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