Netflix映画『JUNG_E/ジョンイ』ヨン・サンホ×カン・スヨンが問う、近未来での人間の尊厳

『JUNG_E/ジョンイ』 メインビジュアル

Netflixの韓国映画『JUNG_E/ジョンイ』は、『新感染 ファイナル・エクスプレス』で注目を浴びたヨン・サンホ監督が贈るSFアクション。気候変動で荒廃した近未来の地球を舞台に、移住先のシェルターで起きた戦争を終わらせるため、伝説の傭兵ジョンイの脳データを複製し、最強の戦闘AIを開発しようとする人々が描かれます。

1月20日に配信開始となり、わずか数日でNetflixのグローバルトップ10の映画・非英語部門で1位を記録。本国・韓国をはじめ台湾、ドイツ、スペイン、シンガポールなど80カ国・地域でTOP10入りを果たすなどの快挙を達成しました。この記事では、そんな『JUNG_E/ジョンイ』のあらすじと登場人物、その見どころを紹介します。

※本記事は『JUNG_E/ジョンイ』の一部ネタバレを含みます。

『JUNG_E/ジョンイ』のあらすじ

『JUNG_E/ジョンイ』 ジョンイの娘・ソヒョンと研究員たち
JUNG_E (L to R) Ryu Kyung-soo as Kim Sang-hoon, Kang Soo-youn as Yun Seo-hyun in JUNG_E Cr. Cho Wonjin/Netflix © 2022

急激な気候変動により、地球は荒廃。人類は月と地球の軌道面の間に80個のシェルターを作り、移住した。しかし、3つのシェルターがアドリアン自治国を名乗り、独立を巡って地球連合国との間で紛争が勃発。連合国は内戦を終わらせるために、任務の失敗で植物状態となった伝説の傭兵ユン・ジョンイの脳データを複製した戦闘人工知能(AI)ロボットの開発に着手する。

それから数十年、成長したジョンイの娘ソヒョンはクロノイド研究所が進める戦闘AI開発プロジェクトのチーム長となっていた。プロジェクトが行き詰まる中、ソヒョンはある転機を迎える。

『JUNG_E/ジョンイ』の登場人物

ユン・ジョンイ(キム・ヒョンジュ)

『JUNG_E/ジョンイ』 銃を構えるジョンイ

アドリアン自治国と地球連合国軍の間で勃発した内戦において、連合国側の伝説の傭兵として活躍していた女性。病弱だったソヒョンの手術費を稼ぐために最前線で戦っていたが、最後の任務に失敗し、負傷して植物状態となった。ジョンイの母親によって、その脳データはクロノイド研究所に売られ、戦闘AIの開発に利用される。

演じるのは、本作と同じくヨン・サンホ監督作の『地獄が呼んでいる』にて新興宗教団体が引き起こす大混乱に立ち向かう弁護士を演じたキム・ヒョンジュ。現実離れした世界観に観る人を引き込む地に足のついた演技が印象的で、本作でも戦闘AIの機械的な動きの中にジョンイの人間味あふれる内面を反映させています。

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ユン・ソヒョン(カン・スヨン/子役:パク・ソイ)

『JUNG_E/ジョンイ』 ソヒョン

ジョンイの娘。幼い頃は小児がんを患っており、手術を必要としていた。自分のために母親は自由を奪われたのではないかとの罪悪感を抱いている。ジョンイの死から数十年後、クロノイド研究所に入所。チーム長として、ジョンイの脳データを活用した戦闘AI開発プロジェクトを牽引する。

演じるのは、わずか4歳で子役デビューし、​​1986年の映画『シバジ』で韓国の俳優としては初めてベネチア国際映画祭で主演女優賞を受賞したカン・スヨン。この映画は2022年5月に急逝した彼女の遺作となりました。

キム・サンフン(リュ・ギョンス)

『JUNG_E/ジョンイ』 サンフン

会長を敬愛するクロノイドの所長。ソヒョンとともに戦闘AI開発プロジェクトに携わっている。ユーモアを重んじる性格で一見人当たりはいいが、自分の思い通りにならなければ癇癪を起こす感情的な人物。ジョンイの娘であるソヒョンのことを人間ではなくAIなのでは? と見下しているが……。

サンフンに扮するのは、一大旋風を巻き起こしたドラマ『梨泰院クラス』で、主人公パク・セロイのお店“タンバム”で働く刑務所帰りのチェ・スングォンを演じたリュ・ギョンス。『地獄が呼んでいる』では宗教団体・新真理会の幹部を演じました。『JUNG_E/ジョンイ』ではヒール役に徹し、狂気じみた演技で観る人を戦慄させます。

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イ・セヨン(オム・ジウォン)

クロノイド商品開発部の常務。戦闘AI開発プロジェクトがなかなか成功しないことで痺れを切らした会長に命じられ、ジョンイの脳データを利用した別のプロジェクトを立ち上げる。

演じるのは、2022年を代表する韓国ドラマ『シスターズ』での演技が話題となったオム・ジウォン。今回の出演シーンはわずか5分程度ですが、キャラの立った演技で強烈なインパクトを残しています。

ジェギョン(ハン・ウヨル)

クロノイドの所員で戦闘AI開発プロジェクトのメンバー。伝説の傭兵ジョンイの熱烈なファン。

会長(イ・ドンヒ)

クロノイドの会長。時代を見据える力を持った優秀かつユーモアを兼ね備えた人物ではあるが、底の見えない部分がある。

非現実世界に人間の本質を映すヨン・サンホ監督

『JUNG_E/ジョンイ』 ヨン・サンホ監督

本作でメガホンを取ったのは、2016年に世界中で大ヒットした韓国映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督。同作では、謎のウイルスの感染拡大により、乗客乗員がゾンビと化した高速鉄道の車内での恐怖を描き、”Kゾンビ”(韓国のゾンビもの)と呼ばれるブームを巻き起こしました。

また、2022年に配信されたサンホ監督作Netflixシリーズ『地獄が呼んでいる』は突如として現れた“地獄からの使者”が、人々に地獄行きを宣告。宣告された人が3体の黒い怪物に焼き殺される超常現象が次々と勃発する世界が舞台となっています。

どちらも一見すると非現実的な設定ですが、そこに映し出されるのは極限状態に陥った人間の本質。例えば『地獄が呼んでいる』では、新興宗教団体がネットを活用して人々を扇動し、大衆によるネットリンチを引き起こす姿に現代社会の問題が見えてくるはず。

最新の映像技術で作りあげた壮大なスケールの世界観を通して、観る人に現実的な課題を突きつける・・・それがサンホ監督の作品です。

人間の脳を持つAIに尊厳を認めるか?他人事ではない問題

『JUNG_E/ジョンイ』 両手を突き出すジョンイ

では、サンホ監督が『JUNG_E/ジョンイ』で描こうとしたことは?

人間の脳をデジタル化する取り組みは現実世界でも進み始めています。サンホ監督は、尊厳を持たないロボットとして好き放題に扱われるジョンイの姿を通し、「人間の脳データを複製したロボットに、どこまで尊厳が認められるのか」という問いを突きつけてきます。

また、ジョンイの脳データがクロノイド研究所に売却されたのは、ジョンイの家が貧しかったためでした。生前は娘であるソヒョンの手術費用を稼ぐために傭兵となり、死後は残されたソヒョンや母親の生活を保障するために自分の脳を軍事利用、時には慰み者として商品利用されるジョンイ。本作には人間の尊厳、貧困問題やフェミニズムなど、約2時間の中にあらゆる重厚なテーマが散りばめられています。

故カン・スヨンの名演よ永遠に

『JUNG_E/ジョンイ』 銃を突きつけられるソヒョン

そんな重厚なテーマとともに本作が映し出すのは母と娘の物語です。

戦闘AI開発プロジェクトが頓挫し、クロノイドの所員たちはいらだちを覚え始めます。そして、次第に彼らは手段を選ばなくなり、ジョンイの脳データを複製したロボットの雑な扱いに歯止めが効かなくなってくるのです。

しかしロボットは人間と遜色のない見た目をしていて、苦痛も感じる。悶え苦しむ母親の姿を前にしたソヒョンの複雑な心境をカン・スヨンが表現しています。1971年に子役としてデビューしてから約50年、韓国を代表する俳優として第一線で活躍し続けたカン・スヨン。この作品で約10年ぶりに俳優活動を再開しましたが、公開を前に惜しまれつつこの世を去りました。

奇しくも遺作となった本作では、死を目前に最後の使命と向き合うソヒョンの姿を鬼気迫る演技で届けています。特にあることを決断したソヒョンがラスト30分で見せる奮闘に心を打たれること間違いなし。娘役でありながら、母性溢れるカン・スヨンの名演を脳裏に焼き付けましょう。

まとめ

ヨン・サンホ監督が得意とするSFであり、重厚な人間ドラマでもある『JUNG_E/ジョンイ』。いつか訪れるかもしれない近未来を舞台にしたこの作品は私たちに様々な問いを突きつけてきます。観た後に、誰かと語りたくなる本作をNetflxでお楽しみください。
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