2022年4月から配信されているアメリカ制作のNetflix映画『目指せメタルロード』。内気な高校生・ケビンが、ヘヴィ・メタルにすべてを捧げる親友・ハンターとメタルバンドを結成し、学内のバンドコンテストで優勝を狙う様子がコメディタッチで描かれています。
BGMやセリフに有名バンドが数多く登場するなど、メタルへのこだわりを随所に盛り込んだ本作は、メタルマニアならニヤリとさせられる描写が満載。『ゲーム・オブ・スローンズ』を手掛けたD・B・ワイスが脚本を担当し、青春ドラマとしても見ごたえたっぷりに仕上がっています。
本記事ではNetflix映画『目指せメタルロード』の登場人物やあらすじ、見どころを紹介します。
『目指せメタルロード』あらすじ
グレンウッド・レイク高校の同級生であるケビンとハンターは小学校からの幼馴染。現在はヘヴィ・メタル一筋なハンターの言動や行動から、校内では少し浮いた存在になっています。ある日、2人は校内の人気バンド、「モリー・コドル」がホームパーティーを開催することを聞きつけ視察へ行くことに。現地で「モリー・コドル」の演奏に難癖を付けたハンターは、バンドリーダーのクレイから「バンドバトルで会おう」と提案され、その場で参加を決意。ケビンとハンターは練習を重ねながらベーシスト探しに動きますが適任者が見つからず、バンド編成は難航します。ケビンは、校内のマーチングバンドにいたエミリーがチェロを弾く姿を見て2人でのセッションに誘い、意気投合。エミリーの加入をハンターに提案しますが、「女がメタルバンドに入るなんてありえない！」と大反対にあってしまいます。ケビンとの仲がギクシャクしたハンターは、あるトラブルを起こしたことでバンドバトルへの出場が危ぶまれ、「メタルを極め、神のように崇拝される」という計画が暗礁に乗り上げてしまいます。
『目指せメタルロード』の登場人物・キャスト
ケビン（ジェイデン・マーテル）
グレンウッド・レイク高校に通う少年。性格は内気で、小学生の頃いじめにあっていたところをハンターに助けられて親友になります。ハンターと2人でメタルバンドを結成し、初めてのドラムセットに最初は右往左往しますが、ハンターによるメタル教育と地獄の猛特訓でツーバスも余裕でこなす実力派ドラマーへと成長します。体育が免除されるという理由からマーチング・バンドに所属しており、その練習中に出会ったエミリーにバンド加入を打診します。
ケビン役のジェイデン・マーテルは『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』などへの出演で注目を集める若手俳優です。
ハンター（エイドリアン・グリーンスミス）
ケビンの幼馴染。医師の父親のもと裕福な家庭で育ちますが、中学1年生の際、母親が家出してしまい、それ以来ヘヴィ・メタルを心の拠り所にしています。ケビンいわく「飽き性だけど今はメタル一筋」とのことで、現在は思考や行動など日常すべてがメタルに染まっています。自宅の地下をスタジオにしてケビンとバンド練習を重ねており、ギタリストとしてもなかなかの腕前。
ハンター役のエイドリアン・グリーンスミスは2002年生まれの若手俳優で、本作が初の映画出演となります。
エミリー（アイシス・ヘインズワース）
イギリスからグレンウッド・レイク高校に転入してきた少女。情緒不安定なところがあり、マーチングバンドで顧問に悪態をついていたことがきっかけでケビンと知り合います。チェロの名手で、ケビンからバンドのベーシストに推薦されますが、ハンターが猛烈に反対したことで両者は険悪な状態に。ケビンとは音楽を通じて距離を縮め、恋仲へと発展します。
エミリー役のアイシス・ヘインズワースはスコットランド出身で、BBC Threeのホラーシリーズ『レッドローズ』など、ドラマや映画、舞台で幅広く活躍しています。
クレイ（ノア・ウレア）
グレンウッド・レイク高校でナンバーワンの人気を誇るバンド「モリー・コドル」のリーダー。誰とでも分け隔てなく接する好青年で、ハンターに校内のバンドバトルへの出場を提案します。モリー・コドルのメンバーに欠員が出た際には、ケビンのドラムを見込んでサポートを打診します。
シルベスター医師（ブレット・ゲルマン）
ハンターの父親。優秀な医師ですが家庭人としては不器用で、妻が家出して以来、家庭は機能不全に。放任状態のハンターが自分のクレジットカードを湯水の如く使ったことで大喧嘩するなど、親子関係は不仲な状態が続いています。
トロイ（ジョー・マンガニエロ）
ケビンやハンターの高校のOB。1996年の校内バンドバトルで優勝した「キロトン」のギター・ボーカルで、ハンターにとっては憧れの存在。プロへの道も嘱望されましたが、バンドはアルコール問題により解散。その後、ケビンやハンターと意外な場所で出会うことになります。
『目指せメタルロード』の見どころ
マニア心をくすぐるメタルへのリスペクト
ヘヴィ・メタルを愛する人々は世界中にいるのに、学校など自分の周りではお目にかかったことがない……。そんな経験を持つメタルヘッズは数多くいるのではないでしょうか。本作におけるケビンとハンターも、校内でたった2人がメタルの離れ小島に生息し、スクールカーストの範疇にも入っていないような状態です。メタルヘッズにとって、こういったシチュエーションはむしろ原動力。メタルの布教は、まず身近なところからと、ハンターがケビンに「ブラック・サバス、アイアン・メイデン、ジューダス・プリースト、メタリカ、ディオ…お前の歴史だ、学べ」と述べる場面は、メタルファンなら思わず「あるある！」と唸ってしまう描写です。本作のタイトルにある「ロード」は、「ROAD（道）」ではなく「LORD（キリスト教での神または主）」。メタルの神になるというハンターの決意を示したものと思われますが、劇中では、ある場面でロブ・ハルフォード（ジューダス・プリースト）、スコット・イアン（アンスラックス）、カーク・ハメット（メタリカ）、トム・モレロ（レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン）といった、メタルヘッズにとって本当に神ともいえるレジェンドたちが登場。登場時間はわずかですが、彼らが演技をする貴重な様子を、ぜひ目に焼き付けてください。そして、ハンターの車のナンバープレート「PWRSLVE」が「アイアンメイデン」の4thアルバム「POWERSLAVE」にちなんでいるなど、メタルファンならニヤッとさせられる小ネタも満載です。
音楽監修はトム・モレロ。迫力の演奏シーンも必見！
本作の見どころの1つがケビンやハンター、エミリーの演奏シーン。3人ともこれまで本格的な楽器演奏は経験がなかったそうですが、ハンター役のエイドリアン・グリーンスミスなどはギターを構えた佇まいが実に堂々としています。本人のコメントによると、ヘヴィ・メタルに接したのも初めてとのこと。ケビンとエミリーがブラック・サバスの「War Pigs」をドラムとチェロで演奏する場面でも、まるで本当のセッションを見ているかのようなライブ感を演出しています。エグゼクティブ音楽プロデューサーとして参加したトム・モレロ（レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン）は、彼らにメタルバンドとしての正しい演奏フォームやメタルの概念を徹底的に伝授し、オリジナル曲「Machinery Of Torment」を制作するなど、あふれんばかりのメタル愛で本作の完成に大きく寄与しています。「モリー・コドル」のサポートをしたケビンが普通のポップスでついツーバスを踏んでしまうといった、音楽経験のある方なら笑ってしまうような細かいギャグも見逃せません。
青春のほろ苦さ満載。少年・少女たちの成長物語
『目指せメタルロード』は、ヘヴィ・メタルという音楽ジャンルを全面にフィーチャーしています。しかし、ストーリーは単なるバンドものではなく、メタルを通して紡がれる友人や親子、恋人との人間関係を丁寧に描き、青春時代ならではの心の機微を繊細に表現しています。ケビンとハンターの間に、エミリーという新たな存在が登場したことで起こる関係の変化はその最たるもの。ぶつかり合いながら理解を深め合う彼らの成長ぶりは、多くの人が共感できるはず。ハンターがメタルにのめり込んでいく描写も、音楽によって心を救われた経験がある人にとっては、深く突き刺さるでしょう。
まとめ
ヘヴィ・メタルをモチーフに、青春の1ページを赤裸々に描いたNetflix映画『目指せメタルロード』。明るく楽しみながら疾走感あふれるメタルナンバーも味わえる、見どころ満載な1作となっています。メタル好きな人もメタルになじみがない人も、この機会にヘヴィ・メタルとNetflix映画『目指せメタルロード』の魅力に触れてみてください。
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