「若者の夢、情熱、苦悩、葛藤、そして友情、全て味わえる極上のエンターテインメント」。ヤナギブソン絶賛のNetflix『極悪女王』

女子プロレス黄金期に、カリスマヒールとして活躍したダンプ松本の半生を描いたNetflixシリーズ『極悪女王』。2024年9月19日に公開されるやいなや、3週連続で日本の「今日のTOP10(シリーズ)」で1位に君臨しつづける快挙を達成。主役を演じるゆりやんレトリィバァの先輩芸人でもあるヤナギブソンさんに、その魅力を語っていただきました。

※本記事はNetflixシリーズ『極悪女王』の一部ネタバレを含みます。

Netflixシリーズ『極悪女王』とは

Netflixシリーズ『極悪女王』イメージ

1990年代、日本国内に女子プロレス旋風を巻き起こした全日女子プロレス。高校卒業後に入門した松本香は、同期の長与千種(ながよ・ちぐさ)らとともに、厳しい指導を乗り越える。親友ともいえる長与がプロデビューを果たしてスター街道を突き進む一方で、香はなかなか花が咲かず、事務所からの意向でヒールとしての道を歩み始める。

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”悪魔”の真の姿とは?ダンプ松本のプロレス物語

ヤナギブソン氏

ーー『極悪女王』の第一印象を教えてください。

僕が小学校の時にテレビで観ていた女子プロレスのイメージとのギャップが一番衝撃的でした。「そんな裏側やったん!?」と真実を知った感じで。「こんなにいろんな物語があったんだ」と初めて知って、実際の映像を見返したくなりました。

ーー特に驚いたことは何ですか?

当時、小学生ながらレスラーの方々を「売れてるなぁ」と思ってたんです。自分は別にプロレスファンってわけでもなかったんですが、国民的な認知度は相当あったと思うんですよ。長与千種(ながよ・ちぐさ)さんとダンプ松本さんこと松本香さんのリング上での関係とは反して「本当は仲が良かったんだ」と驚きましたね。
それに「ライオネス飛鳥さんがエリートレスラーだったんだ」とか、ダンプ松本さんの生い立ちも壮絶でした。

ーー当時のダンプ松本さんのことを「怖い」と思っていましたか?

当時を知る僕としては、その時僕が小学生だったからとかではなく、本当にテレビに映っている人間の中でダンプ松本さんが一番怖かったと記憶してます。だってお客さんとか殴ってたんですよ。だからホンマに怖くて、会いたくないと子どもながらに思ってました。

ーー『極悪女王』を観て、ダンプ松本さんへの印象は変わりましたか?

徹底してヒールを演じてたんだなと感じました。とんでもないメンタルというか、根性というか……。当時、家とかもバレてたみたいで、ファンがサインを求めに家に来ても自分で対応して色紙を破ったりしていたらしいんです。それくらい徹底して、私生活でも“ダンプ松本”を貫いてたんだなと思いますね。

ーーなるほど。作品だと本当はいい人だったと描かれていますもんね。

そうですね。ダンプさんが引退後、バラエティ番組とかも出るようになって、ずっと“ダンプ松本”というキャラクターを作ってるわけじゃないんだと思いましたね。僕も大人になるにつれて、その後のダンプさんがそのキャラクターで人々を楽しませてるんだと分かってきて、好きになっていきました。

ーー作中で共感したシーンはありますか?

修業時代のシーンですね。特殊なエンタメの世界に憧れて入って、ライバルたちとしのぎを削る。成功していく者もいれば、辞めていく者がいるっていう構図は、お笑いも一緒。厳しい練習をダンプ松本さんが受けているシーンには思わず共感して「頑張れ!」って観ていましたね。

養成所時代の僕は、全員ライバルだと思って、1位になることしか考えていなくて……。友達でありながら、ライバルでもある。そんな時代とオーバーラップしました。この作品は全5話で一気に観れる長さなので、熱が冷めずに一気にあっという間に観終わりました。

純粋さに心を掴まれる青春プロレスドラマ

ーーダンプ松本さんと長与千種さんの関係性はどうでしたか?

最初はピュアな十代のプロレス好きな女の子が集まっているんですよ。そこで切磋琢磨しながらトレーニングしていく。優秀な人は先にデビューするんですが、これに焦りとか不安とかが出てくる。でも「いずれは自分も」という憧れもあったりして、本当に美しい関係なんですよね。でもそこに大人のビジネスの要素が入ってくるんですよ。

作中で、ダンプさんが売り出し中のクラッシュ・ギャルズのインタビュー記事を雑誌で読んだとき、長与千種がそこで語った一言に友達だと思っていたのに裏切られた気持ちになって、闇落ちしてしまうんです。そして極悪・ダンプ松本が誕生して、二人の友情は終わってしまうんです。そうやっていろんなところに感情移入しながら、観てしまうんです。

ーーみんないい演技してるからこそ感情が乗ってるんですよね。

クレーン・ユウを演じる芸人の「えびちゃん」

印象的なシーンがあって、芸人の「えびちゃん」が演じるクレーン・ユウというレスラーがいるんですけど、試合中にダンプさんにボコボコにされるんです。それで「やってられっかよ! 何がプロレスだよ!」みたいな感じでロッカーに連れて行かれるときの演技には鬼気迫るものがあって引き込まれました。

ーー感動するシーンはありましたか?

やっぱりラスト20分のダンプ松本さんの引退試合ですね。最後にどういったパフォーマンスをするのか……。ダンプ松本さんは、ある意味みんなの想像を超えて暴れまくるんです。それでみんな血だらけになって暴れまわったあとに、剛力さん演じるライオネス飛鳥が「これがお前のやりたかったプロレスなのかよ!」って。そこでグッと心を掴まれて、一気にスイッチが入りました。
新人時代には本格的なプロレスラーに憧れていたのにいろいろあって暴れまくるようになる。一度立ち止まって本当にやりたかったストロングスタイルなプロレスをするんです。そこでライオネス飛鳥が「55年組しか見せれないプロレス見せようぜ」って。やっぱり友情っていいなっと。本当によくできたストーリーだなと思いましたね。

ーー本当に感動の場面ですよね。この場面って他の方でも共感性の高い場面ですよね。

誰しも人間ですから。いろんな人間関係があって、友情や助け合い、競争とか、何かしら自分の生活と一緒の部分はあると思うので、どんな方でも共感して泣けると思います。
子供の時っていろんな場面で泣くけど、大人になると感情がだんだん押し込められてしまう。でも何かしらのきっかけで一気に泣いて心が洗われるような気になって、また日常生活に戻れる、みたいなことってあると思うんです。だから泣くことっていいことだと思うんですよね。ぜひ、『極悪女王』を観て、泣いてほしいですね。

ダンプ松本を演じるゆりやんは、強さを持った芯の強い芸人

ヤナギブソン氏

ーーダンプ松本さんを演じたゆりやんレトリィバァさんの作品内の印象を教えてください。

作品のために増量したと聞いてまして、その時点で「さすがやな」って思いました。今となっては雲の上の人になってしまいましたが、実はゆりやんとは関係が深いんです。僕の地元のお祭りで養成所の子たちがネタを見せるコンテストがあったんです。そこで僕は審査員をやってたんですが、ゆりやんが養成所にいるときに出場したんです。そこで「こいつすごいな」って思いました。とにかくずば抜けてた。他の審査員である商店街の会長さんとかはぽかーんとしてて、優勝は違う子だったんですけど、僕は「ちょっといいですか」と割り込みました。ゆりやんに何か賞を与えたくて、ヤナギブソン賞を急遽作ったんですよ。

ーーゆりやんレトリィバァさんって心優しいイメージなんですが、ダンプ松本さんの演技を観ていかがでしたか?

僕から見るゆりやんっていうのは、芯が硬くて折れない芸人なんです。だからダンプ松本さんの演技ができるし、入り込んだ演技もできる。そういう高い能力をもつ非常に稀有な芸人さんですね。そういう意味では、当たり前だったというか。

ーーでは作中は、ゆりやんレトリィバァさんではなく、ダンプ松本さんとして観れたということですか?

そうですね。メイクしていない顔こそはゆりやんですけど、人間としてはゆりやんではなくダンプ松本さん、松本香という風にしか見えなかったですね。

ーーでは本作の見どころでもあるダンプ松本へと変貌していくゆりやんレトリィバァさんについてはいかがでしたか?

Netflixシリーズ『極悪女王』イメージ

松本香さんからダンプ松本さんへと変わっていく様は、本当に残酷だなと思います。自分が生き残っていく道と会社が存続していくために必要な要素とか、いろんなものが“ダンプ松本”へと導いていったと思うんです。作中でもトラックの積み荷の上でチェーン握り締めて雨に打たれながら咆哮するシーンがあるんですが、そこで生まれ変わってると思うんです。でも心の中ではもっと厳しい葛藤があって……過去の自分をすべて捨てる覚悟があったんだと思います。そしてそれを見事に演じたゆりやんはさすがだなと思います。

ーー他にゆりやんレトリィバァさんの演技で印象に残ったシーンはありますか?

シーンというわけではないですが、やっぱり小走りなところですね。顔とかフォルムがかわいらしいんで、ちょこちょこって動いてるところはいいですね(笑)。でもやっぱりダンプさんになったら、まるで違う人格になるなと感じました。

泣いてスッキリ!心洗われる感動作

ヤナギブソン氏

ーー最後に『極悪女王』は、どんな人におすすめしたいですか?

大人だったら観た全員が感動する作品だと思いますが、溜まり溜まったものがあってどこかで心を洗いたいと思っている人に是非観てもらいたいですね!そしてわーっと最後に泣いてもらえたらスッキリすると思うので、観て泣いてほしいです。

あとは、例えばプロレスを「怖い」と思っている人がいるとするなら、『極悪女王』でその裏側を知ったら、もっと興味が湧くんじゃないかなって思います。僕らのお笑いの世界とも通ずる部分もあるので、裏側を想像しながら、お笑いの世界も観てもらえたら、違った目で見えるんじゃないかなとも思います。

今回の記事は「eo光チャンネル」で放送中の番組『Netflix Freaks』の連動企画。ページ上部の動画もご覧いただき、ヤナギブソンさんのプレゼンで作品の面白さをぜひ感じてください!

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