Netflix『第10客室の女』キーラ・ナイトレイの演技に魅せられる、心理スリラー

Netflix『第10客室の女』キーラ・ナイトレイの演技に魅せられる、心理スリラー

Netflix映画『第10客室の女』は、記者のローラが豪華客船で謎の転落事故を目撃するも、誰にも信じてもらえず、ひとり“客室10”の中に潜む恐怖と真実に踏み込んでいくスリラー映画です。

同名の原作は、王道の舞台設定と心理戦の緊張感が世界中のミステリーファンに鮮烈な印象を与えた世界的ベストセラー作家ルース・ウェア氏(英)の同名小説。

原作のエッセンスを見事に映像化した本作は、原作ファンはもちろん、サスペンス・スリラーの初心者からも人気を博しています。

※この記事はNetflix映画『第10客室の女』の一部ネタバレを含みます。

『第10客室の女』のあらすじ

『第10客室の女』のあらすじ

旅行記者として活動するローラは、豪華客船「オーロラ号」の処女航海に取材として招かれます。取材のためにクルーズに参加したローラですが、どこか彼女の気持ちは落ち着きません。ローラは最近遭遇した殺人事件がトラウマになり、豪華客船に乗っている間も時折襲ってくるフラッシュバックや元恋人のベンに悩まされていました。

その夜、隣室(第10客室)から口論と激しい物音、そして「何かが海に落ちる音」が聞こえ、バルコニーの壁に血のついた手形を目撃しましたが、第10客室に乗り込んだ時には、血の手形はおろか、何の証拠も残っておらず、第10客室には誰も滞在していないと告げられてしまいます。

『第10客室の女』の登場人物・キャスト

個性豊かなキャラクターが登場し、誰が物語のカギを握っているのか? 誰が犯人なのか? そのように主人公と一緒に推理を楽しむのがミステリーやサスペンス作品の醍醐味です。ここでは、鑑賞中に押さえておきたい、主要な登場人物について簡単に解説します。

ローラ・ブラックロック(キーラ・ナイトレイ)

ローラ・ブラックロック(キーラ・ナイトレイ)

ローラは『第10客室の女』の主人公で、旅行雑誌の記者。トラウマを抱えており、精神的に不安定な状態でクルーズの事件に遭遇します。事件の証拠が何も残されていなかったことから、船内で孤立し、次第に自分の精神や記憶にも確信が持てなくなっていきます。彼女が感じる恐怖、不安、疑念がストーリーの核になります。

リチャード・ブルマー(ガイ・ピアース)

リチャード・ブルマー(ガイ・ピアース)

リチャードは豪華客船の所有者で、ビジネスと社交を兼ねてクルーズを企画した実業家。世界的な大富豪であり、冷静沈着かつカリスマ性を備えた人物です。クルーズには、「末期の白血病患者である妻と友人たちの思い出作り」という側面もあり、時おり、妻を献身的に支える思いやりや優しさが垣間見えます。

アン・リュングスタッド・ブルマー(リーサ・ロヴェン・コングスリ)

アンはリチャードの妻で、ノルウェーの名家出身の令嬢。かつては社交界で知られる美しい女性でしたが、白血病に侵され、残された寿命もあとわずか。航海には参加しているものの、自室で療養しているのがほとんどで、物語への登場シーンは限られています。リチャードをしのぐ莫大な資産を抱えていますが、死後は慈善団体への寄付を予定。物語の序盤、記者のローラに遺言書の内容についてアドバイスを求めます。

ベン・モーガン(デヴィッド・アジャラ)

ベン・モーガン(デヴィッド・アジャラ)

ベンはローラの元恋人でフリーランスのフォトグラファー。かつて同じ雑誌社で働いていましたが、ローラとの破局を機に関係が途絶えていました。ただし、共通の友人を通じてローラの現状を把握しており、精神的な苦痛を抱えている彼女をサポートしたいと考えています。今回の航海にはローラと同じく取材のために同乗しており、事件発生後は、彼女への信頼と不信感の間で心が大きく揺さぶられます。

クライマックスまで一気に駆け抜ける!洗練されたストーリーと軽妙なテンポ

クライマックスまで一気に駆け抜ける!洗練されたストーリーと軽妙なテンポ

『第10客室の女』が幅広い層に受け入れられている理由は、ムダのない洗練されたストーリーにあるでしょう。

『第10客室の女』はあくまでひとつの問い、「ローラが目撃したものは嘘か、それとも真実か?」という一点に物語の焦点を絞り、観る者を迷わせずに引き込む構成をとっています。

登場人物も最小限に整理され、それぞれの役割や立場が明確。人間関係が複雑に入り乱れることもなく、事件の真相へ向けて一本道で進んでいくような緊張感が保たれています。それでいて、単調にはならず、要所要所で真実を揺さぶる小さな違和感や視覚的なトリックが巧みに散りばめられており、最後まで飽きさせません。

『第10客室の女』の上映時間は約1時間半。サスペンス映画としては比較的コンパクトながら、テンポよく展開する脚本と洗練された演出によって、鑑賞者は一気に物語に引き込まれていきます。

冗長な説明や無駄な回想が一切なく、観客が“今ここで起きていること”に集中できる構成は、まさに現代的。映画をあまり観ない人でも、序盤から状況を理解しやすく、クライマックスまで一気に駆け抜けることができるでしょう。

現実?幻覚?キーラ・ナイトレイが表現する“心の揺らぎ”

現実?幻覚?キーラ・ナイトレイが表現する“心の揺らぎ”

『第10客室の女』のもうひとつの見どころは、主人公ローラを演じるキーラ・ナイトレイの圧倒的な存在感。キャリアに不安を抱え、トラウマと不眠に悩まされるローラの繊細なキャラクターを見事に演じています。

ローラという存在のキャラクターやストーリー上の役割を細かく伝えるとネタバレになってしまうのですが、ひとつキーワードを上げるとすれば、ローラの「心の揺らぎ」に注目すると、物語をより楽しむことができるでしょう。

序盤では、過去のトラウマや女性記者としてプライドが彼女のアイデンティティを揺さぶり、それによってパートナーとの関係破綻、仕事への過度な依存が発生していることが描写されます。そして、不安定な心理状態に追い打ちをかけるように、船上での事件に遭遇してしまいます。

キーラ・ナイトレイは、そんなローラの不安定な心理を、表情の変化や視線の揺らぎ、口調の強弱などを通じて見事に表現していきます。彼女の演技を通して、まるで自分が“誰も信じてくれない状況”に置かれたかのような“追体験”を味わうことができるでしょう。

「誰も自分を信じない」悪夢が観るものを惹きつける

「誰も自分を信じない」悪夢が観るものを惹きつける

『第10客室の女』を鑑賞していて感じる恐怖は、血や暴力の描写ではありません。それは、「自分が見たものを、誰も信じてくれない」という孤独感です。

主人公ローラは、確かに“女性が海に落ちる瞬間”を目撃したはずなのに、周囲の人々はその言葉を冷たく否定します。彼女の証言は、過去の精神的トラブルや不眠症という背景によって信用されず、次第に幻覚や妄想として扱われていきます。

他者に信じてもらえないことで、自分の記憶・感情・現実感までも揺らぎ始める。そんなローラが感じる恐怖は、心霊現象などの外的脅威ではなく、「自分の声が届かない世界」という “社会的な悪夢”といえるでしょう。

職場、学校、家庭など、自身が所属する団体の中で、「自分の意見が理解されない」「誰も聞いてくれない」という孤独や不安・恐怖は、誰でも一度は感じたことがあるでしょう。豪華客船や大富豪といった非現実的な設定でありながら、なぜかローラに共感し惹きつけられてしまうのは、私たちの心に潜む“根源的な恐怖や不安”を描いた作品だからといえるかもしれません。

このような恐怖にローラがどのようにして立ち向かうのか、飲み込まれてしまうのか――その真相はぜひ本作を視聴して確かめてみてください。

まとめ

Netflix映画『第10客室の女』は、普段あまり映画を観ない方でも理解しやすく、クライマックスまで一気に楽しむことができるサスペンス作品です。その取っつきやすさに対して、本作で描かれる孤独や恐怖・不安には普遍性があり、見ごたえも十分。「スリラーやサスペンス映画を観てみたい!」というライトユーザーにぜひ楽しんでほしい作品です。

原作者のルース・ウェアは、あるインタビューで「『言った・言わない』の対立が目立つニュースが多発していて、とくにSNSなどでは、若い女性の証言が軽視されがちな状況に憤りを感じた。」と、本作を執筆する動機を語っています。「もし自分がクルーズの参加者だったら、ローラの言葉を信じることができるだろうか……ローラの言葉を信じるためにはどのようなアプローチが必要なのだろうか……」そんな視点で本作を鑑賞してみるのも興味深いかもしれません。

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