2022年4月22日よりNetfiixで独占配信されている『HEARTSTOPPER ハートストッパー』は、セクシャルマイノリティ（LGBTQ＋）をテーマにした海外ドラマ。イギリスの高校を舞台に、ゲイの青年・チャーリーと同級生のニックを軸とした青春群像劇が描かれます。
原作はイギリスの作家アリス・オズマンが2016年から手がけているグラフィックノベルで、売り上げは累計100万部超え。日本を含む世界23ヵ国以上で翻訳されているベストセラー作品が、オーディションで選ばれた若手俳優のジョー・ロックとキット・コナーで実写化されました。
配信後まもなく、世界54カ国でトップ10入りを果たす快挙を達成。すでにシーズン2と3の制作も発表されています。そんな話題沸騰中の『ハートストッパー』を、LGBTQ＋当事者であるナジャ・グランディーバさんはどう観たのか。その見どころと共感ポイントを教えていただきました。
プロフィール：ナジャ・グランディーバ
兵庫県出身。大阪在住のドラァグクイーン。
毒舌を言わない「のんびりオネエ」として、関西を中心に活動中。
『ゴゴスマ』（CBC）、『よんチャンTV』（MBS）、『バラいろダンディ』（TOKYO MX）、『ナジャ・グランディーバのチマタのハテナ』（eo光チャンネル）、『ウラのウラまで浦川です』（ABCラジオ）などの番組にレギュラー出演しているほか多数のメディアで活躍している。
『ナジャ・グランディーバのレツゴーフライデー』（MBSラジオ）が2021年の日本民間放送連盟賞【ラジオ生ワイド番組部門】にて優秀賞を受賞。
目次
『ハートストッパー』のあらすじ
ゲイであることをカミングアウトしている15歳のチャーリー・スプリング（ジョー・ロック）。トゥルハム男子校に通うチャーリーは、ある日の授業で隣の席になったクラスメイトのニック・ネルソン（キット・コナー）とすぐに心を許せる友達となる。
チャーリーがラグビー部のスター選手で明るく心優しいニックを好きになるのには時間がかからなかった。一方、ストレートだったはずのニックもチャーリーのことを意識し始め、自分のセクシャリティと改めて向き合うことになる。
こんなにピュアで爽やかなボーイズラブは今までなかった！
ーーナジャさんはNetflixの『ハートストッパー』にハマったとのことですが、どのような作品なのでしょうか。
こんなにピュアで爽やかなボーイズラブは今までなかった！と思う作品です。一言でいえば、ゲイの高校生・チャーリーがラグビー部のスター選手であるニックに恋をするお話。でも、ただその二人が好き合って恋人になる過程を描くだけじゃない。
特にニックは元から男の子が好きな気持ちを持っていないから、自分はゲイなのかどうかという葛藤も盛り込まれています。
ーーこれまでのボーイズラブ作品と一線を画す点は？
私も色んなボーイズラブ作品を観ているんですけど、今まではより恋愛色の強いものが多かったんですよ。言ってみれば、もう少し濡れ場があったり。でも『ハートストッパー』は、ほぼそういうシーンはないんですね。
それぞれの「好きだ」っていう気持ちの揺れ動きに重きを置いている感じだから、爽やかでピュアな気持ちで観れます。
ーー性的指向がストレートの人も楽しめる作品なのでしょうか。
楽しめると思いますよ。ニックは自分がゲイかどうかで葛藤するけど、ストレートの人も何かしらの葛藤や悩みを持っているはずだから。共感もできて、彼らが仲間に助けられるところなんかはすごく勇気をもらえると思います。
ーーナジャさん自身も共感できるポイントはありましたか。
私ね、ものすごく共感できるところがあって。足の速いチャーリーがニックから「ラグビー部に入らないか？」ってスカウトされるんですけど、そのシーンでサッカー部に所属していた中学・高校時代を思い出しました。
というのも、当時私は前田くんというイケメンの男の子に片思いしてたんですね。その前田くんがサッカー部だから、という不純な動機で自分も入部したので、ニックに誘われてラグビー部に入るチャーリーに共感したんです。その時点ですごく作品にのめり込んだんですよね。
推しキャラはニック。わかるよって抱きしめたくなる
ーーお気に入りのシーンを教えてください。
ニックが「自分はゲイかもしれない」っていう悩みをパソコンで検索するシーンですかね。そこでニックが同性愛者かどうかのセルフチェックを受けるんですけど、60%という結果を見て涙を流す場面がすごく印象的でした。
初めて男の子を好きになった時、自分の場合は「病気なのかな？」と思って色々調べたりもしたんですよ。私も通ってきた道だから共感できますね。
あとはニックがチャーリーへの気持ちを抑えられなくて、思わず10秒間くらいハグするシーンがあるのよ。あのシーンもすごく好きだし、そういうの私もしてみたい！と思いました。
ーー他にも、「自分もこういうのしてみたいな」と思うシーンはありますか？
こんなんしてみたいなと思うとこばっかりよ！私は48年間、彼氏というものができたことがないんですよ。好きな男の子とデートしたこともないから、チャーリーとニックのデートしてるシーンなんかは全部やってみたいなと思う。
公園で寝そべって、手を繋いで喋ってみるとか、目隠しをして海に連れて行ってもらうとか、そういうのはすごく憧れる。
ーー推しのキャラクターは？
やっぱりニック推しかな。48歳のゲイとして、「あーこういうところ分かるな、そういう葛藤あったな」って共感する部分が多くて。だから頑張れよって応援してあげたいし、わかるよって抱きしめてあげたくなりますね。
あとね、ニックは基本的にピチピチのズボンを履いてるんですよ。そこも好き（笑）。
『ハートストッパー』は思春期の子どもを持つ親御さんにもおすすめ
ーー『ハートストッパー』は、感動的なシーンも多いと聞きました。
そうですね。ただの恋愛ドラマというよりは、自分がセクシャルマイノリティであることに葛藤している方々へのメッセージ性が強い作品だと思います。
チャーリーとニックは男の子同士のカップルだけど、レズビアンのカップルやトランスジェンダーのキャラクターも登場する。性的指向を抜きにしても、チャーリーや友人たちがオタク気質だったり。それぞれの個性を尊重し、認め合っていこうというメッセージをすごく感じます。
ーーLGBTQ＋への理解も深めることができそうですね。
そうね、入り口としては一番いいかもしれない。LGBTQ＋と言われる人たちが普段どんな恋愛をしていて、どんな悩みがあって、こういう愛の形を持っている人たちなんだってことを理解するためのバイブルだと思います。
当事者の人もチャーリーたちにすごく共感できると思う。同じ悩みを抱えている人が世の中にはたくさんいるんだなって分かるだけでも、気が少し楽になるはず。特にニックの葛藤は誰もが通る道なんじゃないかな。
ーーこの作品をどういう方々に見てほしいですか？
それこそSDGsでもジェンダー平等が目標として挙げられていますけど、今の若い子たちは子どもの頃からテレビだったり、YouTubeやSNSでLGBTQ＋の人たちを目にする機会も多いから、そんなに抵抗感がないと思うんですよね。一方で、じゃあ彼らがどんな人たちなのかについてはあまり知られていないとも思う。
だから、この作品でより理解を深めてもらいたいと思いますね。好奇心があって、情報を吸収する力もある若い子たちにぜひ見てもらいたいです。
ーーそれと同時に、チャーリーたちと同じ年代の子どもを持つ親御さんにもできれば見てほしいですね。
それはね、すごくある。親御さんにもぜひ見てもらいたい。今、LGBTQ＋の人口は8%くらいって言われているじゃないですか。それって結構な確率だと思うし、自分の息子や娘がそのカテゴリーに入る可能性は0じゃない。
ドラマの中でも、ニックがお母さんにカミングアウトするシーンがあるんですが、その時にお母さんは「ありがとう」って言葉をかけるんです。
自分の子どもからそういう告白をされた時にどう対応すればいいのかっていう点で、すごくいいお手本になってると思うんですね。
それまでの過程も丁寧に描かれているから、子どもがどれほど悩んできたのかっていうことだったり、カミングアウトしてくれた、その勇気も感じ取れると思う。そういう意味で、親御さんたちの世代の方々にも見てほしいです。
『ハートストッパー 』を観るなら「eo光ネット Netflixパック」を
今回の記事は「eo光チャンネル」で放送中の番組『Netflix Freaks』の連動企画。こちらの動画もぜひご覧ください！ナジャさんの語り口でより一層『ハートストッパー』の魅力が伝わってくるはず。
【Netflixシリーズ『HEARTSTOPPER ハートストッパー』独占配信中】
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