オタク心溢れる映画監督ギレルモ・デル・トロの作風と代表作5選

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SFからゴシック・ホラーまで、幅広い作品を手掛ける監督・プロデューサーのギレルモ・デル・トロ。悪魔や怪獣、幽霊など、異形のモチーフを圧倒的な映像美で表現する作風は映画業界で異彩を放ち、確固たるポジションを築き上げています。本記事ではデル・トロの生い立ちから創作のバックボーン、必見の代表作5選を紹介します。

ギレルモ・デル・トロのこれまで

ギレルモ・デル・トロは、1964年メキシコ第二の都市・ハリスコ州のグアダラハラ市で生まれました。幼い頃からさまざまなジャンルの本を読み漁り、中でもホラー系のコミックに心惹かれたことが、現在まで続く創作のルーツとなっているそうです。

ホラー映画にも興味を示したデル・トロは、映画学校で専門知識を学んだ後、『エクソシスト』の特殊メイクを担当したディック・スミスに師事。やがて自ら特殊メイクの会社を立ち上げ、1992年には『クロノス』で映画監督としてデビューを果たします。以後は、『ミミック』『ヘルボーイ』『ブレイド2』『パンズ・ラビリンス』など、ホラーやアクション、ファンタジーの話題作を次々と世に送り出し、映画ファンにその名を知らしめました。2013年には、巨大ロボット「イェーガー」と「KAIJU」が戦いを繰り広げる『パシフィック・リム』を公開し、日本でもさらに広いファン層を獲得。2017年の『シェイプ・オブ・ウォーター』では、第90回アカデミー作品賞をはじめ数多くの映画賞を受賞し、その地位を不動のものとしました。近年も『ナイトメア・アリー』やNetflix映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』といった監督作の他、脚本や製作総指揮も多数手がけ、精力的な活躍を見せています。

ギレルモ・デル・トロに大きな影響を与えたカルチャーは?日本文化にも造詣が深い

ギレルモ・デル・トロの作品は、一般的にホラーやダークファンタジーにカテゴライズされますが、その作風は決して単一的ではありません。
アンデルセンやシャルル・ぺローの童話、H.P.ラブクラフトの怪奇世界、エドガー・アラン・ポーの死生観、映画の先人であるヒッチコックやルイス・ブニュエルの独創的な表現…などなど、さまざまな要素が混在した世界観。奥行きのある物語と「人と異形の者のかかわり」というデル・トロの個性が築き上げられています。
もともと特殊メイク分野の出身だけに造形へのこだわりはすさまじく、作品で見られるギミック満載の小道具やスチームパンク的なセット、生々しいクリーチャーなどは、「デル・トロ節」ともいえる様式美を確立しています。

デル・トロ作品を語る上で外せないのが、日本のアニメや特撮などのカルチャーによる影響です。デル・トロ自身も影響を受けた作家として、円谷英二やスタジオジブリ、大友克洋などを挙げ、中でも押井守には、格別のリスペクトを表しています。押井の監督作でも『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』は当然として、特に好きな作品として、天野喜孝がキャラクターデザインを担当したファンタジー『天使のたまご』を挙げるところにコアなファンぶりを伺わせます。幼少時に『マジンガーZ』のおもちゃで遊んでいたというデル・トロは、2017年に映画祭で作者の永井豪と対面。憧れの巨匠との対面に思わず涙ぐんでしまうなど、感動に打ち震える様子が伝えられました。

絶対に見ておきたい、ギレルモ・デル・トロの代表作5選

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 映画館イメージ

『ヘルボーイ』

2004年作のアメリカ映画。マイク・ミニョーラが1994年に発表したアメコミ作品を実写化。第二次世界大戦末期、アメリカ軍とナチスが戦いを繰り広げる中、魔界から地上に生まれ落ちた赤子“ヘルボーイ”の活躍を描いてます。アメリカ軍のブルーム教授に育てられたヘルボーイは、超常現象調査防衛局(BRPD)のエージェントとなり、悪魔の撃退に明け暮れる日々を送っていましたが、かつての大戦の黒幕であるラスプーチンが復活したことを察知し、さらなる戦いへと身を投じていきます。
怪力で鬼のような形相なのに、どこかチャーミングなヘルボーイのキャラクターは、デル・トロの持ち味と見事にマッチ。ダークかつポップな娯楽作品として楽しめます。ヘルボーイのイメージにぴったりな俳優としてロン・パールマンをキャスティングしたデル・トロが、有名スターを起用したいスタジオ側と対立したエピソードも語りぐさとなっています。

『パンズ・ラビリンス』

2006年作のメキシコ・スペイン・アメリカの合作映画。舞台は1944年のスペイン。内戦下で父を亡くした少女・オフェリアが、異世界の迷宮で姫となるため、3つの試練に挑む姿を描きます。
ストーリーは戦時下における体制側とゲリラの戦いをベースにしていることから、重く悲劇的ですが、オフェリアが迷い込む迷宮世界は不気味で美しく、現実世界と交錯することで、独特の映像体験を楽しむことができます。番人のパンや、手のひらに目のついた怪物・ペイルマンなど、迷宮に潜む謎めいた生物たちのインパクトも強烈。細部までこだわったクリーチャー造形や、ファンタジックで耽美な世界観など、デル・トロの個性が凝縮された本作は、デル・トロ監督作の中でもフェイバリットに挙げる声がよく聞かれます。

『パシフィック・リム』

2013年作のアメリカ映画。地上を襲う巨大生物「KAIJU」と、世界各国が開発した迎撃用の巨人兵器「イェーガー」の熾烈な戦いを描いています。ロボットアニメ好きなら、ひと目見て「カッコいい!!」と声を上げてしまうイェーガーや、迫力満点なKAIJUのデザインには、デル・トロの日本アニメ・特撮に対する多大な愛情が感じられます。主役機で、アメリカのイェーガーであるジプシー・デンジャーの必殺技エルボー・ロケットが、マジンガーZのロケットパンチを彷彿させるのも見どころです。2人1組で乗り込むイェーガーのパイロットで、主人公・ローリーのパートナーである森マコを菊地凛子が演じているのも注目ポイント。2018年には10年後を描いた続編『パシフィック・リム: アップライジング』が公開されました。

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『クリムゾン・ピーク』

2015年作のアメリカ・カナダ合作映画。20世紀初頭のアメリカ・ニューヨーク。実業家・カーターの娘であるイーディスは、イギリスから粘土掘削機の売り込みにやってきたトーマスと出会い、恋愛関係に。カーターが謎の死を遂げた後、失意のままイギリスに渡ったイーディスは、トーマスと結婚し、トーマスの姉のルシールと3人で暮らすようになります。しかし、やがて幻影や亡霊にさいなまれるようになったイーディスは、自分たちが暮らす土地に隠された恐ろしい秘密を知ることになります。
イーディス役のミア・ワシコウスカのはかない美しさが際立つ本作。約100年前のニューヨークや登場人物の衣装など、クラシカルなモチーフがゴシックテイストの映像で表現され、恐怖と美しさが融合したサスペンスホラーとなっています。

『シェイプ・オブ・ウォーター』

2017年作のアメリカ映画。アメリカとソビエトが冷戦真っ只中にあった1962年。政府の極秘研究所に勤務する清掃員・イライザが未知の生物と遭遇したことから、物語が始まります。幼い頃のトラウマが原因で声を失ったイライザと、アメリカの最高機密である半魚人の“彼”は、いつしか種を越えて心を通わせるように。しかし、“彼”が実験の犠牲になることを知ったイライザは、国を敵に回す覚悟で”彼”の救出へと動き出します。
デル・トロの十八番である“彼”のクリーチャーの造形が非常に美しく、なめらかな動きも必見。サリー・ホーキンス演じるイライザと軍の間で繰り広げられる“彼”をめぐる戦い、そして種族の壁をものともしない愛を凝縮した本作は、第74回ヴェネツィア国際映画祭や第90回アカデミー賞など、さまざまな映画賞を獲得。デル・トロにとって最も大きな成功作品となりました。

Netflixオリジナル作品にも注目

ギレルモ・デル・トロ特集 
『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』 メインビジュアル

Netflixでは、デル・トロのオリジナル作品を配信中。児童文学の名作を大胆にアレンジしたNetflix映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』は、切なく美しい物語が話題となり、第80回ゴールデングローブ賞のアニメ映画賞を受賞。さらに本年度アカデミー賞の長編アニメーション賞にもノミネートされています。当サイトでも小説家の海猫沢めろんさんが、その魅力をたっぷり語っています。Netflixシリーズ『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』は、デル・トロが製作総指揮を務めるオムニバスドラマ。『キューブ』のヴィンチェンゾ・ナタリをはじめ、名だたる監督が、おぞましさ満載のホラーエピソードを展開しています。『パシフィック・リム: アップライジング』の続編となるアニメ、Netflixシリーズ『パシフィック・リム: 暗黒の大陸』も現在、シーズン1が独占配信中。デル・トロは直接製作に関わっていませんが、シリーズのファンなら必見です。

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【Netfix映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』独占配信中】

【Netflixシリーズ『パシフィック・リム: 暗黒の大陸』独占配信中】


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