Netflix『100人の回答』は幅広い年齢・性別・人種の人たちを「アメリカ社会の縮図」となるように集め、さまざまな実験を行うリアリティ番組。40代になり、人生がつらいという小説家・文筆家の海猫沢めろんさんが番組を観て考えます。
※本記事は『100人の回答』の一部ネタバレを含みます。
人生がつらい
人生がつらい。
毎日そんなことばかり考えている。
なぜ、こんなことばかり考えてしまうのだろう? 確かに私の未来は暗いかも知れない。貧乏で後ろ向きで、明日をも知れぬ生活だが、そんなことは今に始まったことではない。昔からいつもそうだった。なぜ今さら? 自問自答した結果、答えが出た。
更年期障害だ。
まちがいない。いわゆるミッドクライシス。業界でサブカル40代鬱といわれる現象だ。思い返せば40歳越えたあたりから全部が始まっている。
恐ろしい……もう人生はここから下り坂で、あとは落ちるだけなのか……。
そんな中シェアハウス兼仕事場で鬱々としていると、「これ見ると老後に希望が持てるよ」と、友人がある番組を勧めてくれた。
友人に勧められたNetflixシリーズ『100人の回答』40代が最悪と確信
Netflix『100人の回答』(100humans)は、集められた100人の老若男女の協力で、世の中の俗説や定説の正しさを確かめていく全8回のドキュメンタリー番組だ。各回のテーマは、
- エピソード1 美と魅力の定義
- エピソード2 今、人生最高峰?
- エピソード3 男と女の戦い
- エピソード4 偏見の塊?
- エピソード5 アメかムチか
- エピソード6 幸せの真実
- エピソード7 五感を信じる?
- エピソード8 自由課題
どれも世間に流布する一般的な思い込みが強いトピックがゆえに、改めて本当にそうなのか知りたくなるものばかりだ。
「エピソード1 美と魅力の定義」では、まず「ダンスが上手い=魅力的=精子が多い」、という仮説で実験が行われる。
そもそも前提が「そんなわけねえだろ!」なのだが、よく考えると「でもジャニーズとかK-POPの人とか人気だしな……クラブではみんな踊ってナンパしてるよな……そうなのか……そうかもしれん!」と心が揺れる。でもやっぱり関係なかった。だよな。
つづいて「制服で魅力が増す?」(パイロットや医者など、金持ちそうな制服は人気)、「美形は実刑を免れる?」(肌の色が濃いほど重罪にされる)「面白い人はセクシー?」(同じ人間が退屈な人間と面白い人間を演じて、どちらの好感度が高いか実験する。結果は言うまでもない)など。
いろんな実験が行われるが、だいたいの番組フォーマットはもう分かったので、友人おすすめの「今、人生最高峰?」(エピソード2)を見る。
(ほお……なるほど……そうか……そうだったのか……そうだよな……そうか……やっぱり……えっ、そうなの? ……おお……そうだったのか……!)
見終わる頃には、「40代は最悪なのかも」という疑問は確信に変わり、そしてその先の未来も分かった。
結論から言うと、やっぱり40代は人生において最悪の時期だった。
いかに最悪かを説明しよう。
最悪の証明
エピソード2では、今が人生最高かどうかを調べるため、これらの実験が順番に行われる。
・協調性の実験……世代別チームで組み立て家具をつくる。
・記憶力の実験……食品リストを覚えたあと、複雑な運動をして、どのくらい記憶しているか試す。
・技術適応能力の実験……もつれたイヤフォンをほどく。
・協力と問題解決と意思疎通の実験……部屋にある5つの物体(パズルボックス、白板、金庫、紫外線ライト、レコードプレイヤー)を組み合わせる脱出ゲーム。
「まあこういうのはだいたい20代が一番に決まっているんだよな」、と思って見ていたら意外な展開に……。
まず、最初の「世代別チームで組み立て家具をつくる」の結果は、
- 1位 60代
- 2位 20代
- 3位 50代
- 4位 30代
- 5位 40代
となった。
40代が最下位……これは分かる。複雑な組み立て家具をつくるにはチームワークとコミュニケーションが必要だが、40代ってそういうのうまくやれなさそうだもんなー(ひどい偏見)。
意外なのは、60代が1位であることだ。
なぜこのような結果になったのか?
番組内の説明によると、知能には処理能力の高さが問われる「流動性知能」と、経験が問われる「結晶性知能」の二つがあるという。
前者は分析や処理能力の高さのことで、20代がピーク。後者は経験を応用する知能なので、50〜60代で上昇するという。
続く実験でも似たような順位が続く。
最終的にすべての実験を総合した結果は、1位が20代、2位が60代、最下位は50代だった。
この実験は非常に面白い。
なぜ60代は幸福なのか?
この結果は一般的にいわれる、人生における、人の幸福度と満足度のグラフとほぼ一致している。人間の幸福度は20代まで上がっていき、そこから下降線をたどって40代で底を打ち、60代でまた回復するU字型の曲線を描くという(参考資料)。
やはり40代は魔の年代……恐ろしい。しかし、実験結果を信じるならば、それをやり過ごすことができれば人生はまた上向きになるらしい。
仕方ない……生きるか……。
人生が低迷している皆さん、ちょっとそんな気分になってきませんか? 俺はなってきました。
ただ……この結果を鵜呑みにしていいのかはちょっと迷う。
番組内のメンバー100人は常に同じなので、世代よりも人間同士の相性もあると感じられるし(ダメそうな40代のおっさんがいつも失敗ばっかりする)、回を重ねるごとにテレビ慣れして、番組に忖度している可能性もなくはない。
実験のやり方にも疑問がある。
そもそも組立家具って……そんなのでチームワークが正確に測れるか?
もつれたイヤフォンをほどくのって、年代よりも個人差が出るんじゃないのか?
などなど、疑いはじめるときりがない。
それはともかく、この番組の60代の人々の、テンションが高い陽キャぶりは元気が出る。
長い人生の先には、こんなアッパーな楽園が待っているのか! しょうがない、なんとか今日も仕事をするか……。
更年期のみなさん、がんばりましょう(日本人の俺には、たぶんあのテンションは出せませんが……)。
【Netflixシリーズ「100人の回答」独占配信中】
Netflixを楽しむなら「eo光シンプルプラン 10ギガコース Netflixパック」がおすすめ!こちらはeoアプリ登録者限定で、eo光シンプルプラン 10ギガコースとNetflixのスタンダードプランのセットが最大6カ月間390円/月でご利用いただけるプランです。
eoの定額4Kテレビならお手軽に「SONY 4Kブラビア」をご利用いただけます。
リビングを映画館に!Netflixの4K対応作品を大迫力の4Kテレビで楽しもう
各種保証・保険がついてサポートも充実。高価な4Kテレビをお手軽に楽しみましょう!
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。掲載日以降に内容が変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。