“大人向け”傑作SF短編アニメ集『ラブ、デス&ロボット』の私的おすすめ5選

ラブ、デス&ロボット メインビジュアル

『ラブ、デス&ロボット』は、Netflixオリジナルの短編アニメシリーズ。最初のシーズン1が独占配信されたのは2019年3月で、好評を受けて2021年5月にはシーズン2が提供開始。最新のシーズン3は2022年5月に公開されており、シーズンごとに話数も異なっています(それぞれ18話、8話および9話)。

もっとも、「テレビアニメシリーズ」の前に「大人向け」という言葉がつきます。およそ日本の地上波テレビ、どの国であれ公共の電波に乗せることが難しそうな、自由奔放な表現が繰り広げられているのです。

それもそのはずで、製作総指揮をとるのが映画監督のティム・ミラーとデビッド・フィンチャー。それぞれ実写版『デッドプール』と『ファイトクラブ』で知られる人物であり、表現にブレーキを掛けるわけもありません。2人ともNetflixとのコラボは初めてだったものの、クリエイティブの自由さが最優先され、「こうしたい」という話をしたらずっと支えてくれたとの証言もありました。できうる限り、ノーブレーキだったわけですね。

『ラブ、デス&ロボット』の魅力を紹介していきます。

ライター:多根清史

地上波では絶対に観られない“大人向け”アニメの数々

ラブ、デス&ロボット 全身を装飾に覆われた女性

そんな2人のもとに、ゲームのCGムービーや3DCGアニメ、手描きの2Dアニメなど、ジャンルを超えたクリエイターたちが集結。「まるで実写のような全編CG」から、「本当に実写をまじえた一部をCGで表現」まで様々な手法が採られており、どう創るかは現場に任されていたようです。

そうして映像的には実験精神がさく裂しているものの、大半の作品はSFやホラーの短編集を原作としていて、一応の起承転結らしきものやオチもあり、どれもストーリー的にはまとまっていたりします。

しかし、大人向けで映像化も想定していない「原作」が多いためか、きわどい描写も満載。たとえば特殊部隊とモンスターの戦闘であれば、グロテスクな表現も隠さず、ロマンスであればキスに留まらないシーンもあり、日本の視聴者が想定している(であろう)「アニメ」の枠を大きくはみ出しています。

ラブ、デス&ロボット ラバースーツを着た2人

それは「残虐なものが描きたいから」というよりも、人が生きるとは何か、生物と無生物との違いは何か……というテーマにたどり着くため、タブーを恐れずに何ごとも描くクリエイティブの発露という印象があります。

最初から最後まで描写がどぎつい作品も少なくはなく、全30話以上あるうちのどれを見ても安心……とは言い難いものがあります。それは製作側も心得ているのか、シーズン1の最初の数話は非常にバランス良く作られた、拒否反応を起こしにくそうなラインアップが用意されています。

ラブ、デス&ロボット モンスターと襲われる人

特に1シリーズの「ソニーの切り札」は、わずか17分の中にSFや濃厚な人間ドラマ、あっと驚くどんでん返しが詰まった秀作。地下闘技場を舞台として迫力の怪獣(?)バトル、二転三転する復讐劇まで詰め込まれており、いちおう流血は控えめ。これが楽しめる人なら、他のほとんどの話数も問題ないはずです。

とはいえ、1本あたり4〜20分弱の短さで、ドラマ内でも寄り道をしている余裕がないため、どれもテンポ良くサクサク見られるのがありがたいところです。Netflixの「次のエピソードを自動作成」機能とあいまって、ショッキングなシーンも記憶の彼方に流されていくのです。

このラブデス(略称)アニメがすごい!

また完全一話完結形式だけに、「好きな作品から選んで観られる」のが最大の長所でしょう。では、どのエピソードが特におすすめなのか?全話を視聴した筆者が、あくまで私見とお断りした上で、より抜きの逸品をご紹介します。

1.「ロボット・トリオ」(シーズン1)

ラブ、デス&ロボット たそがれる3人(?)のロボット

人類が滅び去った遠い未来で3体のロボット達が崩壊した都市を観光ツアーのようにさ迷い、人類がどのような暮らしを送っていたのかをあれこれと語り合う。そして一匹の猫の後を追うと、とある場所に辿り着く。

ロボットのデザインは可愛らしいですが、セリフはシニカルで辛らつ。日本語吹き替えはSFアニメやロボットアニメに縁が深い声優の方々が担当しているため、分かる人にはさらに味わい深いかもしれません。

2.「スーツ」(シーズン1)

ラブ、デス&ロボット パワードスーツ

カカシがいるのどかな農村かと思いきや、エイリアンが多数襲来。農民らは土地や牛を守るためにパワードスーツに乗って出撃し、3人の共闘で迎え撃つものの、多勢に無勢で絶体絶命のピンチに。仲間の1人が自爆と引き換えに形勢逆転もつかのま、巨大なボスが出現するのだった。

全編にわたってお約束だがアツい展開の連続で、日本のアニメファンにとっても抵抗なく観やすいはず。「そうそう、こういうのでいいんだよ」的なテイストで、地上波でも流せるのではないでしょうか……最後に明かされる衝撃の結末を除けば。

3.「グッド・ハンティング」(シーズン1)

人々を悪霊から守る狩人の息子リアンは、人間に化けられる妖狐ヤンと不思議な友情を育んでいく。そんなおとぎ話のような風景から、数年後には舞台がスチームパンク的な香港へと一転。大人になったリアンは、生身の身体を奪われたヤンをロボットキツネに再改造してやり、「良い狩り」に送り出してやるのでした。

お話のジャンルごと変わるような急展開に驚きつつも、映像もストーリーも綺麗なまとまり方。中国の人気作家ケン・リュウの『紙の動物園』に収録された短編小説が元になっており、原作も読みたくなる出来映えです。

4.「聖夜の来客」(シーズン2)

クリスマスの夜、1階で物音がするのに目を覚まして、様子を見に行く幼い姉弟たち。サンタクロースかなと思って対面してみると、なんとグロテスクな怪物だった……!

この映像、実はストップモーションだったりします。本来は静止している物体を少しずつ動かしてコマ撮り撮影し、アニメーションのように見せる手法です。さらに本作では、人形の顔にCGアニメーションを施しており、姉弟を表情豊かにしているわけですね。

それが分かっていても、怖いものは怖い! でも、バッドエンドではないはずなのでご安心ください。

5.「彼女の声」(シーズン3)

ラブ、デス&ロボット シーズン3の一幕

舞台は中世らしき時代、森の中を行進する重装の騎士団。そして森の湖の中からは宝石に包まれた艶やかな女の魔物が現れ、叫び踊り狂う。その声を聞いた騎士達は先を争って魔物へと殺到し、溺れ、殺し合い、やがて全滅。そんななか、耳の聞こえない騎士は一人だけ生き残るのだった。

『ラブ、デス&ロボット』の中で1本だけ私が選ぶなら、間違いなくコレです。映像はリアルすぎて現実と見まがうかのよう、でも重い鎧を着た騎士たちの華麗な踊りは現実にあり得ない。その1人1人が精緻に作り込まれている上に、森の自然も実に美しく、それでいて全編に狂気が満ち満ちている、という凄まじさなのです。

本作を手がけた監督Alberto Mielgoは、『スパイダーマン: スパイダーバース』のアートディレクターとしても知られている人物です。シーズン1の監督作『目撃者』も素晴らしいので、併せて観ることをお勧めします。

かなりクセが強くて観る人を選ぶ作品が多いものの、しだいに耐性がついていき、意外と全話観られるものです。そうする内に、新たな味わいに目覚めるという意味で、『ラブ、デス&ロボット』はアニメ界のエスニック料理かもしれません。

【Netflixシリーズ『ラブ、デス&ロボット』シーズン1~3 独占配信中】


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