南北統一後、4兆ウォンの強盗計画を描く『ペーパー・ハウス・コリア』。原作より短くまとまり大どんでん返しも

ペーパー・ハウス・コリア メインビジュアル

Netflixでも屈指のスペイン発人気ドラマ『ペーパー・ハウス』。緻密な強盗計画を立てるも一筋縄ではいかない作戦とスケールが拡大していく展開に引き込まれます。原作が約50話のところを12話にリメイクしたのが、『ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え』。作家・海猫沢めろんさんが魅力を語ります。

韓国版『オーシャンズ11』?人気ドラマ『ペーパー・ハウス』の韓国リメイク

ペーパー・ハウス・コリア 不適な笑みを浮かべるトーキョー

ううう! Netflixのドラマが長い! 長過ぎるよ! サブスクが物珍しかった頃はその長さが嬉しかったこともあったが、見たい作品が増えるにつれて、シーズン1で視聴を断念する「挫折」作品も増えてきた。
そのひとつが『ペーパー・ハウス』だった。
スペインの造幣局に人質をとって立てこもった8人組の強盗団の物語——と筋書きはシンプルだが……パート1〜5までで約50エピソードもある。
長い……面白いけど長い。もっと短くしてくれー!
そんな無茶な願いを叶えるのが、舞台をスペインから韓国に変えてリメイクした『ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え』である。
元作品の2シーズンを12エピソードに圧縮。これならギリギリいける! とばかりに一気見したらさすがに面白い。

原作を大胆に改変。南北統一後の朝鮮半島の「統一通貨」を盗む大計画

ペーパー・ハウス・コリア 一団は造幣局に立てこもる

舞台となるのは2025年。南北統一に湧く朝鮮半島では「共同経済区域(JEA)」という名の特区が作られていた。
北朝鮮の軍人だった少女、チョン・ジョンソは統一を期に心機一転、ソウルに向かう列車に乗っていた。新天地でやりなおそうとした彼女だったが、そこはあいかわらず格差が是正されない過酷な場所だった。借金を背負い、どうしようもなくなり、犯罪に手を染め指名手配されたそのとき、彼女の前に「教授」と名乗る男が現れる。
「教授」は犯罪者たちを集めて、ある計画を実行しようとしていた。それは、「共同経済区域(JEA)」にある造幣局を占拠し、新たな経済圏で流通する予定の「統一通貨」を盗む計画。その金額4兆ウォン。
日本円でいくらかわからないけれど……とにかくでかいことだけはわかる。
計画は、造幣局のメンバーや大使の娘など、多くの人質をとりながらも、誰ひとりとして傷つけないという困難な縛りが設けられている。が、もちろん強盗団も人質もクセのある人間ばかり、そんな単純にことは進まない。予想外のトラブルが頻発「なんでそんなことするんだよ!」「いや、おまえ……段取り通りやれよ」「訓練意味あった?」などなどツッコミたくなる要素がいっぱい。

個性豊かなキャラクターの妙。計画通りに進まないのも良い

ペーパー・ハウス・コリア 仲間に指示を出すベルリン

強盗団のメンバーは、自分たちを都市名で呼び合っており、それぞれに独特なキャラクターを持っている。
軍隊出身で高い戦闘能力を持ち、BTSのファンの「トウキョウ」。元医学生の青年ハッカー「リオ」。女詐欺師の「ナイロビ」。ストリートファイター「デンバー」、彼の父親である元炭鉱夫「モスクワ」、所属していた犯罪組織を壊滅させた脳筋「オスロ」と相棒の「ヘルシンキ」。冷徹な脱獄犯でリーダーの「ベルリン」。

個人的に一番好きなのはその名の通り元経済学部教授の「教授」だ。彼は決して冷徹で完璧なマシンではない。計画のために敵である警察を抱き込むのだが、情に流されて予定にはない行動を取ってしまったり、感情的になったりと、非常に人間的なのだ。「教授」は仲間にさえ教えていないいくつもの秘密と奥の手を使い、警察を翻弄し、最終的には国家を巻き込んだ、とてつもなく大きな野望に向かっていく。

銀行強盗を扱ったドラマはよくあるが、造幣局という小さな場所から始まり、視聴者の予想がつかないほど大きなスケールへ発展していくのは珍しい。格差と正義をテーマにした、閉鎖空間での人間ドラマという意味では『イカゲーム』や『パラサイト』を思わせるが、ベルリン役のパク・ヘスは『イカゲーム』にも出演。さらに、本作で一番ウザい保身の塊である造幣局局長は、『パラサイト』で「リスペクト!」の名言を残したパク・ミョンフンが演じる。

元の『ペーパー・ハウス』も気になり…

ペーパー・ハウス・コリア 不気味なマスクをつけた強盗団の面々

視聴開始の3話目くらいまでは、元のスペイン版と同じく「うーん、このドラマ、話題だけどなんかちょっとキャラに魅力がないんだよな」と思っていたのだが、12エピソードを見終えるとその原因がよくわかった。

予算のせいか、場面が造幣局という狭い空間メインになっている。
「とにかく打ち切られる前に最初の方にヒキを作らねば!」とケレン味優先で、キャラの掘り下げがあとまわしになっている。
序盤に出てくる人間が多すぎて、スタートの3話くらいまでは印象が散漫になる。

とはいえ、本作の冒頭でカマされる「南北統一が実現する世界」という世界観は、アジア圏の人間にとってはかなり魅力的だ。設定どおりに、警察や強盗団のチームが南北混合なのもいい。しかもこの設定がのちのち大きな伏線になっていたのはさすがである。うまい。
こうなってくると元の『ペーパー・ハウス』も気になってきた。なにせ「コリア」のほうはシーズン1、2をまとめたもので、本来はあと3シーズン残っているのだ。
仕方ない……見るか。
結局、リメイク元の約50話全部見た。
時間短縮したのに意味なかったじゃん……。

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