1980年代洋楽ヒット曲。Netflixドラマ名シーンのあの曲は?

80年代ヒットソング メインビジュアル

Netflixオリジナルドラマの魅力を大いに引き立てているのが、劇中で使用される新旧さまざまな時代の名曲たち。今回は、その中でも「ここぞ!」という場面で物語を印象づけている1980年代の洋楽ヒット曲をクローズアップ。使用された場面のほか、アーティストや楽曲の概要、当時の時代背景についても紹介します。

※本記事は各作品のネタバレを含みます。

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』

世界各国で大ヒットを記録している『ストレンジャー・シングス 未知の世界』。時代設定が1983年からスタートしており、楽曲もそれぞれのシーズンに則したヒット曲やクラシック・ロックの名曲が網羅されています。この番組をきっかけにTOTOやケイト・ブッシュの名曲に注目が集まり、リバイバルヒットに繋がっています。

Africa / TOTO

1982年リリース。第1シーズンの第1話で、マイクの姉・ナンシーがボーイフレンドのスティーブといちゃついている場面で流れています。腕利きのスタジオミュージシャンが集ったバンド・TOTOの代表曲で、ボーカルを務めているのはキーボードのデヴィッド・ペイチ。アメリカのヒットチャート・ビルボードの1位を獲得し、本作での使用により再び注目されるように。

Waiting for a Girl Like You / Foreigner

1981年リリース。第1シーズンの第2話で、これまたナンシーとスティーブがいちゃつく場面に使われています。演奏しているForeignerはイギリス人とアメリカ人による混合バンドで、この曲は4枚目のアルバム『4』に収録。ロック調のサウンドからAORにも幅を広げ始めた時期のヒット曲です。現在、オリジナルメンバーはギターのミック・ジョーンズのみですが精力的に活動を続けています。

Sunglasses at Night / Corey Hart

1984年リリース。第1シーズンの第6話で、スティーブが不良仲間と車を走らせる場面に使われています。カナダ出身のロックシンガー、コリー・ハートは本曲でデビュー。収録アルバムの『First Offense』も50万枚以上を売り上げてゴールドディスクを獲得しました。コリーはハンサムなルックスとハスキーボイスで人気を獲得し、たちまちスターダムを駆け上ります。近年も家族との時間を大切にしながら音楽活動を続けています。

The Four Horsemen / METALLICA

1983年リリース。第2シーズンの第8話、ビリーの部屋でかかっているのはMETALLICAのデビューアルバムに収録され、ライブでも定番となっている1曲。イントロのリフから疾走感全開で、静と動を併せ持った展開も聴き応え抜群です。歌詞はヨハネの黙示録の四騎士をテーマにしたもの。曲の原型は元メンバーで、MEGADETHのリーダーであるデイブ・ムステインが作ったといわれています。
ちなみにシーズン4Vol2ではMETALLICAの『Master Of Puppets』が印象的に使用されています。

Running Up That Hill / Kate Bush

1985年リリース。シーズン4で、マックスにまつわる重要な場面に使用されています。ケイト・ブッシュはPink Floydのデヴィッド・ギルモアに見いだされ、1977年にデビュー。本曲では浮遊感のある曲調にコケティッシュなボーカルが折り重なり、神秘的な世界観を作り上げています。本作のリバイバルヒットを受け、めったにメディアに露出しないケイトが感謝のコメントを寄せたことも話題となりました。

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『コブラ会 』

1984年の映画『ベスト・キッド』の34年後を描いた続編『コブラ会 』。当時の主要キャストが父親となって登場することも話題となりました。楽曲は主人公であるジョニー・ロレンスの趣味を反映して、ハードロックやアリーナロックの名曲が揃っています。

Nothin’ But a Good Time / POISON

1988年リリース。シーズン1の第1話冒頭、ジョニーが車で仕事に向かう場面で使用されています。Poisonは80年代に一斉風靡したLAメタルの中でも特に派手なメイクとヘアスタイルで人気を獲得。本曲は2ndアルバム『Open Up and Say… Ahh!』に収録されています。パーティー感満載の曲調が気分を盛り上げます。バンドはギタリスト・C.C.デヴィルとの確執・和解を経て、現在もオリジナルメンバーで活動しています。

Round and Round / RATT

1984年リリース。シーズン1の第3話でジョニーの弟子・ミゲルが携帯電話の着メロに設定しています。LAメタルの先駆者的存在・RATTの代表曲で、メジャーデビューアルバム『Out Of The Cellar』に収録されています。スティーヴン・パーシーの粘り気のあるボーカル、グラマラスかつアグレッシブな曲調がバンドの音楽性を象徴しています。バンドは1992年に解散しますが再結成を果たし、現在も活動を続けています。

We’re Not Gonna Take It / TWISTED SISTER

1984年リリース。シーズン1の第8話、ジョニーが再興したコブラ会の合同練習シーンで使用されています。ド派手な衣装とメイクが強烈なグラムメタルバンド・TWISTED SISTERの代表曲。ボーカルのディー・スナイダーが「理不尽は受け入れない、自由に生きる!」というメッセージを力強く歌い上げています。ロックに理解のない父親がバンドと対峙するMVがコメディタッチで笑いを誘います。

Take It On the Run / REO SPEEDWAGON

1981年リリース。シーズン1の第9話、かつてのライバルで中古車ディーラーとして大成したダニエルが、ジョニーに試乗させる車で聴き、懐かしむ1曲。REO SPEEDWAGONはこの曲を含むアルバム『Hi Infidelity』が1000万枚以上を売り上げ、アメリカを代表するバンドの1つに。劇中でダニエルがお気に入りのバンドであると語り、ジョニーと一緒に本曲を口ずさんでいます。この曲をはじめ、バラードの名曲が多いことで知られています。

『13の理由』

『13の理由』は青少年のセンシティブな問題を扱っていることから、楽曲にも内省的なものが多く見られます。それぞれの楽曲には登場人物たちの心の声を代弁しているような印象もあり、ドラマへの没入感を高めます。

Fascination Street / THE CURE

1989年リリース。シーズン1の第4話でオープニングに使用されています。THE CUREは1979年にデビュー。ボーカル/ギターのロバート・スミスはSiouxsie and the Bansheesのメンバーとしても活動していましたが、1980年代前からTHE CUREに専念。ポスト・パンクからスタートし、サイケデリックやオルタナティブ、ゴシックなど、さまざまな音楽性を取り入れながらダークでポップな世界観を表現しています。本曲はアルバム『Disintegration』の先行シングルとしてリリースされました。

Darklands / JESUS & MARYCHAIN

1987年リリース。シーズン1の第8話でトニーがクレイを車に乗せて移動する場面で使用されています。JESUS & MARYCHAINはボーカルのジムとギターのウィリアムのリード兄弟を中心にイギリスで結成。Primal Screamのボーカルであるボビー・ギレスピーも一時期、ドラマーとして在籍していました。本曲は2ndアルバム『Darklands』に収録。デビュー当初のノイジーなアプローチは影を潜め、美しいメロディが際立つギターポップに仕上がっています。 

Love Vigilantes / NEW ORDER

1985年リリース。シーズン2の第1話でスカイがクレイをバイクに乗せて走る場面に使われています。 NEW ORDERは前身バンドであったJoy Divisionのボーカル、イアン・カーティスの逝去後に残されたメンバーで結成。本曲はポストパンクから脱却し、エレクトロポップ、ダンスロックの音楽性を確立した3rdアルバム『Low-Life』に収録。Superchunkやローラ・カントレルなど、数多くのアーティストによってカバーされています。 

Souvenir / Orchestral Manoeuvres In The Dark

1981年リリース。シーズン2の第6話でハンナとザックがベッド・インする場面に使われています。Orchestral Manoeuvres In The Dark(OMD)は1975年、アンディ・マクラスキーとポール・ハンフリーズによってイギリスで結成。Kraftwerkに影響を受けたシンセ・ポップを展開し、数多くの楽曲をチャートに送り込みます。哀愁的な旋律が耳に残る本曲は母国のシングルチャートで1位を獲得。初期OMDの代表曲となりました。

『アンブレラ・アカデミー』

『アンブレラ・アカデミー』は特殊能力を持ったヒーローたちによるドラマシリーズで、スタイリッシュな演出・映像で独特な作風を築き上げています。楽曲はさまざまな年代からバランス良くチョイス。80年代楽曲は誰もが知るビッグヒットを揃え、思わず一緒に歌いたくなってしまいます。

I Think We’re Alone Now / Tiffany

1987年リリース。シーズン1の第1話、アンブレラ・アカデミーのメンバーが個々にダンスをするシーンで使われています。ティファニーは幼少時からのど自慢で数々の賞を獲得し、15歳でプロデビュー。2枚目のシングルとなるこの曲でブレイクし、アメリカを代表するアイドルとなりました。オリジナルはTommy James and the Shondellsが1966年に発表した楽曲で、こちらも全米4位のヒットとなっています。

Goody Two Shoes / Adam Ant

1982年リリース。シーズン1の第2話、クラウスがハーグリーブス卿の部屋から盗んだ装飾箱を質屋に売り飛ばすシーンで使用されています。アダム・アントは、自身がリーダーを務めるAdam and the Antsを解散し、1982年にロカビリー調の本曲でソロデビュー。派手な衣装やメイクでニューロマンティックブームの立役者となりました。マイケル・ジャクソンやプリンス、日本でも沢田研二らがその影響を受けています。

Footloose / Kenny Loggins

1984年リリース。シーズン3の第1話、アンブレラ・アカデミーがスパロー・アカデミーと繰り広げるダンスバトルで使用されています。映画『フットルース』の主題歌としても有名で、世界中でヒットを記録。日本でも洋楽シングルチャートの1位を獲得しました。ロックデュオ・Loggins and Messinaから独立したケニー・ロギンスにとって本曲は『トップガン』のテーマ曲『Danger Zone』と並ぶ代表曲となっています。

Another One Bites the Dust / Queen

1980年リリース。シーズン3の第7話で世界の崩壊を食い止めたアンブレラ・アカデミーが、その祝賀パーティーを行う場面で使用されています。Queenのアルバム『The Game』に収録され、後にシングルカット。作詞・作曲はベースのジョン・ディーコンが担当しています。発売当初はディスコ調のテイストが物議を醸しましたが、結果的には200万枚を売り上げ、バンドにとって最大のシングルヒットとなりました。

『ノット・オーケー』

『ノット・オーケー』はさまざまな悩みを抱える女子高生・シドニーが超能力に目覚め、さらに悩みを深めてしまうコメディドラマ。シドニーの友人・スタンがレコードなどレトロなものを愛していることもあり、80年代にとどまらないクラシックヒットが効果的に使用されています。

Every Time You Go Away / Paul Young

1985年リリース。第3話でリアムの飼っていたハリネズミが亡くなり、埋葬するシーンで使用されています。原曲はDaryl Hall & John Oatesが1980年のアルバム『Voices』に収録。ポール・ヤングのカバーバージョンは全米シングルチャートで1位を獲得し、世界各国でヒットしました。ポールは1982年のソロデビュー以前、ソウルグループ・Q-Tipsのメンバーとして活動。1991年には鈴木雅之とのデュエット曲も発表しています。

Jessie’s Girl / Rick Springfield

1981年リリース。第3話、リッキーの誕生日パーティーでシドニーとディナがダンスをする場面に使用されています。オーストラリア出身のリック・スプリングフィールドは母国でのバンド活動を経て1972年に渡米。本曲は1984年の『Love Somebody』と並び、リック・スプリングフィールドの代表曲として知られています。端正なルックスで俳優としての活動でも注目を集め、米ABCの長編シリーズ『ジェネラル・ホスピタル』などに出演しています。

The King of Rock ‘N’ Roll / Prefab Sprout 

1988年リリース。第4話でスタンがシドニーをホームカミング(アメリカの高校や大学で秋に行われるイベント)に誘うため、身だしなみを整える場面で使用されています。 イギリスのダラムで結成されたPrefab Sproutは1982年にメジャーデビュー。ボーカル/ギターのパディ・マクアルーンのロックにとどまらない作曲センスが世界的に評価されています。本曲でもキャッチーなメロディーの中にひねりのきいた味付けが随所に施されています。

Holding Out For a Hero / Bonnie Tyler

1984年リリース。第4話でスタンが編集したミックステープの中の1曲として使用されています。ボニー・タイラーは1975年にデビューし、現在も精力的に活動を展開。ハスキーボイスと疾走感あふれる曲調が印象的な本曲は、映画『フットルース』のサウンドトラックに収録されています。全米シングルチャートで34位を記録し、日本では麻倉未稀がカバーしてテレビドラマ『スクール☆ウォーズ』の主題歌となりました。

『全裸監督』

『全裸監督』は日本のポルノ産業に革命をもたらした村西とおるの半生を描いたドラマ。楽曲は80年代のロック・ポップスから近年のニュー・ソウルまで幅広くラインナップ。性・金・権力など、人間の業が渦巻くドラマを効果的に盛り上げています。

The Passenger / Siouxsie and the Banshees

1987年リリース。シーズン1の第1話エンディングで使用されています。原曲はイギー・ポップの2枚目のソロアルバム『Lust For Life』に収録。こちらのバージョンではボーカルのスージー・スーによる呪術的な歌唱がゴシックなテイストを強調しています。Siouxsie and the BansheesにはSex Pistolsのシド・ヴィシャスやTHE CUREのロバート・スミスなど、パンク/ニューウェーブ界隈で活躍するアーティストが多数在籍していました。

Don’t Dream It’s Over / CROWDED HOUSE 

1986年リリース。シーズン1の第7話、ハワイで逮捕された村西とおるが釈放され、帰国した場面で使用されています。CROWDED HOUSEは1985年にオーストラリアで結成。メランコリックな曲調が印象的な本作は全米シングルチャート2位の大ヒットを記録しています。バンドは1996年に解散しますが2006年に再結成。ボーカル/ギターのニール・フィンは2018年からFleetwood Macのメンバーとしても活動しています。

Opportunities (Let’s Make Lots of Money) / Pet Shop Boys

1985年リリース。シーズン2の予告編で使用。Pet Shop Boysは1981年、ボーカルのニール・テナントとキーボードのクリス・ロウによってイギリスで結成され、1984年にレコードデビュー。本曲は1985年にリリースされ、翌年にリリースした新バージョンが全米チャートで10位を記録しました。憂いを帯びたメロディーラインと軽快なシンセサウンドで、当時のユーロビート勢の中でも独自のポジションを確立しました。

Personal Jesus / Depeche Mode

1989年リリース。シーズン2の第1話エンディングで使用。イギリスを代表するシンセ・ポップバンド・Depeche Modeは1981年にデビュー。本曲は1990年のアルバム『Violator』の先行シングルとしてリリースされました。骨太なリズムと耽美な曲調で新機軸を打ち出しています。2022年にキーボード/ベースのアンディ・フレッチャーが他界し、現在はボーカルのデイブ・ガーン、キーボード/ギターのマーティン・ゴアの2名で活動しています。


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