ジャガモンド斉藤『ONI ~ 神々山のおなり』のかわいさとどんでん返しにやられる

ONI メインビジュアル

Netflixで独占配信中の『ONI ~ 神々山のおなり』は、元ピクサーのアニメーションクリエイター・堤大介監督が手がける長編アニメーション。神々や妖怪たちが暮らす世界を舞台に、親子の絆や友情が描かれます。

制作は堤監督が2014年に米カリフォルニア州と金沢市の2拠点に設立したスタジオ「トンコハウス」が担当。最高峰のスタッフたちによるフルCGの映像美とコマ撮りで動くキャラクターの温かみが融合した本作の魅力を、生粋の映画好きで知られるお笑いコンビ・ジャガモンドの斉藤正伸さんに語っていただきました。

『ONI ~ 神々山のおなり』あらすじ

ONI 作品のキービジュアル

天狗や河童(かっぱ)、ナマハゲなど、日本の民話や神話に登場する神々・妖怪が暮らす神々山。主人公の少女・おなりはそこで父の「なりどん」や仲間と平和に暮らしていた。

そんな中、神々の存在を脅かす邪悪なONIの脅威がすぐそこまで迫り、妖怪たちは戦いに備えて特殊な“クシの力”を磨き始める。伝説のグレートヒーローに憧れるおなりも特訓を積むが、一向に力は開花しない。力の手がかりを得るため、ONIの村に向かったおなりはそこで衝撃の事実を知るのだった。

フルCGの映像美とコマ撮りの温かみが融合した世界観

ONI 熱弁するジャガモンド斎藤さん

ーーこの作品を一言で表すなら?

「愛くるしい見た目に騙されてほしい作品」です! キャラクターがめちゃくちゃ可愛いのでなんとなく軽い気持ちで観始めちゃうんですが、実際に観進めていくとそこで描かれるメッセージ性が胸にグサッと深く刺さる、そのギャップが魅力的な作品となっています。

ーーどんなお話なのか、簡単にお聞かせください。

本作は神々山という山が舞台で、そこでは主人公のおなりちゃんという女の子が人参やネコタコ(頭にタコを乗せた)、信楽タヌキのたぬきんたなど、妖怪っぽいキャラクターたちと一緒にわいわい暮らしているんですね。でも橋の向こうからONIと呼ばれる敵が現れることが決まっていて、その日に備えてみんなで訓練し始める……簡単に言えば、そういうストーリーなんですが、3話あたりから雲行きが怪しくなっていって突然びっくりするような展開になっていくんです。

ーーぱっと見子供向けのアニメですが、大人でも楽しめるのでしょうか。

僕も最初は子供が見るアニメなのかなと思っていたんですが、そういう人を驚かせるどんでん返しが待っています。あの愛くるしい見た目からは想像もできないような怒涛の展開で、「わ〜こんなに見れるとは思わなかったな」ってわくわくが止まらなくなって、最後はわんわん泣いちゃうみたいな。内容も考えさせられますし、逆に子供たちはこれをどう受け止めるんだろうって興味が湧きます。

ONI 怯える鬼たち

ーー考えさせられるというのは、どういった点で?

タイトルにもなっている「ONI(鬼)」ですね。皆さんが子供の頃に聞かされた話にも鬼はたびたび登場していると思うんですが、この鬼っていうのは一体なんだったのか?という問いが作品の鍵を握っています。
平たく言えば、本作では鬼が自分とは見た目が異なる人に対しての偏見や差別のメタファーになっているんですね。後半にかけてどんどんメッセージ性が深まっていく中で、自分も気づかぬうちに、見た目が違う人と距離を置いたり、偏見の眼差しを向けちゃったりしてたのかなって気づかされる。そういう深いメッセージが込められた、1話あたり約40分、全4話の連続アニメシリーズです。

ーーちなみにこの作品は実写ではないんですよね。

そうなんです。実写と見まごうほど背景がリアルで綺麗なんですが、フルCGで作られていてそこがまた魅力です。落ち葉一つとってもディティールが細かくて、現実世界で綺麗だな〜って思う景色と遜色ないほどクオリティがとにかく高い。

ONI 主人公のおなり

一方で、その手前で動いてるキャラクターたちは良い意味で人工的なんですよ。まるでフェルトで手作りした人形みたいにキャラクターが毛羽立ってるんですね。逆にたぬきんたは居酒屋の入り口に置いてあるような信楽焼のたぬきなのでツルツルとした質感で。

要するにそういう手作りの温かみみたいなものも感じるし、コマ撮り特有のカクカクした滑らかではない動きも逆に愛くるしさに変わります。だけどCGのパワーで表情に豊かさを持たせていて、二つのテクノロジーが共存した美しい世界だなと思いました。

ーー監督は『トイ・ストーリー3』や『モンスターズ・ユニバーシティ』の制作にも携わってきた堤大介さんです。

堤監督はもともとCGアニメーションの先端を行くピクサーで働かれていたので、実写かと思うほどのリアルさはもちろんのこと、日本の手書きアニメに代表される手作り感のある温かみも持たせていて、両方追求しようとしているのが伝わってきました。また、ちょっと人工的なキャラクターが実写感のある世界に存在しているのにもちゃんと理由があって、最初に感じた違和感が後々効いてくるんですよ。そういうところもすごくクレバーにやられているなって感じましたね。

イチオシキャラのかっぱくんが教えてくれた道徳観

ONI おなりとかっぱくん

ーーたくさんいるキャラクターの中で、斉藤さんのイチオシは?

全部のキャラクターを紹介したいぐらいみんなそれぞれ特性があって、可愛いんですが、僕のイチオシはかっぱくんです。彼は皆さんご存知のかっぱなので、頭の上にお皿があってそこに常に水を溜めてるんですね。ただかっぱくんはすごく謙虚で、かつビビりなので初めて会う人には必ずお辞儀をするんです。

そうするとどうなるかっていうと、水が全部溢れてお皿がカラカラになっちゃう(笑)。その度にかっぱくんは気絶するんですけど、それが本当に気持ち良さそうで。あれ?寝てるのかな?もうこのままそっとしておこうかなって思うくらい良い笑顔なんですよ。それが可愛いし笑えるしで。ただ、そんなかっぱくんに最後の方は泣かされちゃうんですよね。

ーー具体的にはどういうシーンで泣かされてしまうのでしょう。

ONI ポーズを決めるジャガモンド斎藤さん

かっぱくんはおなりちゃんの親友なんですが、そのおなりちゃんが3話からある理由で神々山では暮らしていけないほどに追い詰められていくんです。

そういう胸が苦しくなるような展開が待っているのですが、そんな時にかっぱくんだけは「おなり〜!」って抱きつきにいくんですよ。ああ、かっぱくんだけはどんな状況でもおなりちゃんの味方なんだなって思えてわんわん泣いちゃう。そういう萌えきゅんポイントがあります。

ーーそれを見て、自分も励まされるみたいな。

本作に込められたメッセージだと思うんですが、要は見た目に限らず人って何かしら自分は人と違うのかもしれないって感じることがあると思うんですよね。僕は3歳くらいの頃から映画が好きなんですけど、幼稚園に行ってもみんなもちろんハリウッド映画なんか見たことがないから話が合わないし、今でも楽屋で映画の話をすると煙たがられたり、いじられたりするんですよ。

そういう時に「俺浮いてるな、みんなと溶け込めてないな」みたいな疎外感や孤独を感じることが多いので、鬼のキャラクターに共感するんですよね。だけど、かっぱくんはそんなの気にせずに抱きしめてくれる。そのシーンに込められたメッセージに感動しつつ、かっぱくんみたいな存在にそばにいてほしいなって思いました。

ONI 拍手をするおなりとかっぱくん

ーーいろんなシーンにメッセージが散りばめられているんですね。

しっかり観て読み解いていくと、どんどん芋づる式に深いメッセージが飛び出してくる作品ですね。神々山には妖怪だけではなく人間のキャラクターも登場するんですが、妖怪が善で、人間が悪みたいな二元論的な描かれ方はしていない。それぞれのコミュニティの中にマイノリティが存在しているし、それに対する偏見や差別もあるということがしっかり描かれています。そして4話まで観きると、この『ONI』というタイトル自体が複数の意味を持ってることに気づかされるはずです。

ONI 作品のメッセージを語るジャガモンド斎藤さん

ーー子供が見てもそのメッセージに気づけるような作品なのでしょうか。

例えば、僕らって鬼って聞くと「あ〜ツノが生えたあれね。風神雷神ね。浅草でよく見るわ」って何となくのイメージが頭に浮かぶじゃないですか。だけど、実は結構鬼について知らないことがたくさんある。現実世界も同じだと思っていて、他人に対して勝手な想像だったり不信感だったり恐怖を抱いてしまう。そういう目には見えない感情がアニメで具現化されているので、言葉で伝えるよりもわかりやすいと思うんですよね。だから、例えばお子さんが自分とは違う人との接し方に迷った時にこの作品を観て一緒に学ぶのもいいんじゃないでしょうか。道徳を学ぶための教材としても活かせる素晴らしい作品だと思いました。

老若男女問わず楽しめる作品をぜひご家庭で

ONI 「老若男女問わず見てほしい」と語ったジャガモンド斎藤さん

ーー最後にどんな人におすすめしたいかを教えてください。

本作は子供から大人まで誰でも観やすい作品になっています。子供は単純に「キャラクターが可愛い!」でもいいし、大人は「メッセージ性がやばい!」って盛り上がったり、それぞれの層に合った楽しみ方がきっと見つかるので、老若男女問わずみんなで見て、どこが面白かったかを語り合うのもいいと思います。あとは、なりどんとおなりや天狗の親子をはじめ、この作品は家族の物語でもあるのでぜひご家庭でも。とにかく良い意味で、見た目の愛くるしさに騙されてほしいです!

【Netflixシリーズ『ONI ~ 神々山のおなり』独占配信中】

今回の記事は「eo光チャンネル」で放送中の番組『Netflix Freaks』の連動企画。斉藤さんの熱いプレゼンでさらに作品が観たくなる動画も合わせてご覧ください!


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