『ハック・マイ・ホーム』可動式の壁、本棚の扉…家づくりやDIYのヒントにあふれるNetflix番組
アメリカ版「劇的ビフォーアフター」
家がストレスだ。
最近引っ越したはいいものの、駅から遠いわ近所はうるさいわ壁は薄いわ変な匂いがするわ家賃が高いわで、1カ月たたないうちから引っ越したくなっている。つらい!家が嫌だとこんなにつらいのか!
私は去年(2022年)から、3回引っ越しを余儀なくされ、今回が4度目だ。
6年暮らした熊本から横浜への引っ越しが終わってへとへとになったところで、本郷と西荻窪のシェアハウスの解約が重なったのである。おかげで去年はずっと家の片付けをしていた記憶しかない。
引っ越しのあとはさらに大変な部屋づくりが待っている。
貧乏人はもちろんDIYだ。材木を買ってきて机やベッドを作って、部屋に配置する。これもまためちゃくちゃに面倒な作業だ。しかし、ジャストサイズの家具を作り、うまく部屋が作れたときの感動と充実感は何物にも代えがたい。
しかし……所詮我々は素人であり、時間も金もアイデアにも限界がある。できれば他人にやってもらいたいというのが本音である。
そんな希望を叶えるのがこのNetflix「ハック・マイ・ホーム ~我が家が大変身!〜」だ。
タイトルでだいたい分かると思うので先に言っておくと、この番組はアメリカ版「劇的ビフォーアフター」的番組である。
リフォームで人生の物語が見える
番組ではさまざまな家族が登場し、4人のスペシャリストがその悩みを聞き、家を改造することで解決していく。要はネトフリの人気番組『クィア・アイ』の「家」版である。メンバーは、
建築家のアティ・ウィリアムズ。
エンジニアのジェシカ・バンクス。
デザイナーのミケル・ウェルチ。
そして、独創性を添えるアイデアマンのブルックス・アトウッド。
・関連記事:Netflix「クィア・アイ」の魅力とは?ファブ5が内面も外見もゴーシャスに改造
おもしろいのがエンジニアのジェシカ。彼女はMIT(マサチューセッツ工科大学)出身で、物理とロボット工学の専門家。その人脈を活かして、毎回あまり見たことのない機能性を備えた珍しいギミックを取り入れる。
マッドサイエンティストのような風貌のブルックスが、いつもブレストで独創的なアイデアを(多少ウザがられつつ)披露し、建築家のアティが強度計算や実現性を検討しつつ、デザイナーのミケルが家の雰囲気をまとめる。
どんなとんでもないアイデアも否定せずに、みんなで面白い方向にアイデアを膨らませ、実現性をギリギリまで検討していく。このチームの会議の様子は、まさにブレインストーミングのお手本!無駄な会話と否定が続く会議に慣れた、多くのジャパニーズビジネスパーソンにとっては夢のような光景だ。
ところで、この番組はただのリフォームエンタメではない。登場する家族の履歴紹介は最小限なのだが、家を作り替えていくなかで、さりげなくその家族の歴史や関係性が視聴者に想像できるようになっている。
例えば、2話目「コンセプトはオープンスペース」では、二人で暮らす主婦が登場する。
この二人はレズビアンのカップルで、息子も一緒に暮らしているのだが、彼女たちがどんなふうに家族になっていったのかは語られない。
しかし、注意深く番組を見ていると、彼女たちの語る家の思い出からその出会いや、付き合うようになった経緯、深い愛情が感じられる。
つまり、この番組にとって「改装」は、「回想」として機能しているのである。
こうした、物語を直接ではなく、間接的に暗示する語り口は「ナラティヴ」と呼ばれ、特にゲームの世界などで注目されている。最近だと、オーストラリアのインディーゲーム『Unpacking』がまさにそうした手法で作られている。
このゲームは引っ越しの荷物を開けて、部屋に配置するだけのシンプルなパズルゲームだが、荷物や部屋の様子からプレイヤーは、部屋の主が一人暮らししたり、恋人ができたり、子供が生まれたり……といった人生そのものを感じることができる。
全エピソード紹介
では具体的にどんな家が登場するのか、全8エピソードをざっと紹介しよう。
1 秘密の仕事場
4人の男の子を持つ夫婦から、仕事と遊びのスペースを両方とも確保したいという要望を受け、未完成の地下室の改装に取り掛かる。
2 コンセプトはオープンスペース
自宅のキッチンが狭く、収納場所もなくて使いづらいという2人の主婦が、一緒に楽しく料理ができるような広いスペースを作る。
3 4人のための空間づくり
70年代に建てられたユニークなドーム型の家。孫娘4人が1つのロフトを共有している家を、住みやすく、愛あふれる空間にする。
4 ホームスクーリング対応の家
新たな養子を迎えようとしている一家。ホームスクーリングをするのに、十分なスペースがない家をリフォームする。
5 4つ子ちゃんで大騒ぎ
4つ子の赤ちゃんを育てる夫婦のもとを訪れたチームは、子供の成長にも対応できるよう、物置として使われている車庫を有効活用する。
6 10歳差の姉弟
音楽が好きな10代の長女の希望は、プライバシーを確保すること。両親の希望は、キッチンの空間を有効活用すること、その両方を叶えることができるのか?
7 驚きのベッドルーム
家もキャンピングカーも、家族みんなでくつろぐには狭すぎるという旅行好きの4人家族全員がのびのびと過ごすための改装を行う。
8 家族みんなが暮らす家
キッチンカーを運営する夫婦のもとへ、仕事を手伝うために親戚が引っ越してきた。家族5人が快適に暮らせる空間作りに挑む。
どれを見てもいいけれど、まずは1話目にすべてが詰まっている(ツッコミどころも満載)。
それだけは許せないインテリア
1話に出てくる結婚して13年のウェストブルック夫婦には、9歳、7歳、4歳、2歳の子供がいる。13年住んだ家が手狭になってきたのでなんとかしたいという。
家は全部で102平米。リビングの他に3部屋とバスルームが2つ。それと未完成の地下室が……「おいおい! その家のどこが狭いんだよ!」いきなりのツッコミポイントである。
こないだまで俺が住んでいたマンションは50平米で3人暮らし……日本の中流家庭はそんなもんだろう。そうじゃないのか?
日本とアメリカの住宅事情の違いを痛感させられる。
地下室がこれまたでかい。
見る限り地下室だけで40平米はありそう……だが、悪徳業者に騙されてリフォームをテキトーにやられてしまい、現在中途半端なまま放置されている。
というわけで全体のリフォームにとりかかるわけだが、まずは地下室の部屋を2つに分ける必要が出てくる。ここでワンアイデア「可動式の壁」で解決。
これはジェシカの大学時代の友達が開発したらしい。さすがMIT、すごい。
子供のための創造性を発揮できるおもちゃのような部屋は、なんだか分からないがビジーボードとかいう歯車とか、光るおもちゃとかで、それらしく作られる。これは本当に創造性が高くなるのか? またもやツッコミポイントが……いや……必要だ。必要にちがいない。
毎回こういう無駄にも思えるものを提案するブルックス・アトウッドの存在がなければ、番組は単なる単調なリフォームバラエティになってしまうだろう。
さらに、壁の本棚が秘密の扉になって裏に部屋が……これはアツいな……。と思っていたら、デザイナーのミケルが、
「本を逆に入れるとオシャレだろ?」
などと言い出し、本の背表紙を奥(つまりふつうと逆)にして並べていた。
いや、さすがにそれはない。
ないだろう……いや、ほんとうにないのか?
アメリカでは流行ってるのか……。
でも……やっぱりそれはない。
なんだかんだで、最終的にはすごくいい感じに部屋が完成。
番組は30分程度なので1.5倍速で見るとめちゃくちゃコンパクトで見どころしかない。あんがい自分の生活に取り入れられそうなアイデアもあって、引っ越したばかりの人や家をDIY中の人には超おすすめできる。
ただし、やっぱり本を逆に入れるのは、ない。
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