Netflix映画『エルマーのぼうけん』名作児童文学を今、長編アニメで生まれ変わらせる意味

エルマーのぼうけん メインビジュアル

Netflixで配信中の長編アニメーション『エルマーのぼうけん』をご存知でしょうか。本作は母親と引っ越してきた新しい街に馴染めない少年のエルマーが、恐ろしい猛獣たちの暮らす“どうぶつ島”で竜の子供と出会い、交流を深めていく冒険物語。ルース・スタイルス・ガネットによる1948年の児童文学が原作です。

親子で一緒に観てほしい理由を作品の魅力とともに紹介します。

『エルマーのぼうけん』のあらすじ

エルマーのぼうけん 坂を駆け下りるエルマー

物を見つけるのが得意な賢い少年エルマーは、母デラが1人で切り盛りするお店を手伝っていた。キャンディーやオレンジなどを売るそのお店はいつも人で賑わい、大繁盛。幸せな時間は永遠に続くと思われたが、景気が悪化してついにはお店を閉めることに。

親子はネバーグリーンシティーという街のボロアパートで暮らすことになったが、それでもいつかお店を再開するという希望は捨てなかった。しかし、厳しい生活は続き、ある日エルマーとデラは大げんかしてしまう。

そんな中、言葉が喋れる不思議なネコに導かれ、竜の子供が助けを待つという”どうぶつ島”に渡るエルマー。そこは恐ろしい猛獣たちが暮らす不思議な島だった。

『エルマーのぼうけん』の登場人物

エルマーのぼうけん ボリスに額をあてるエルマー

エルマー

主人公の少年。物を探すのが得意で、母デラが営むお店を手伝っていた。お店の閉店に伴い、デラと新しい街に引っ越して来るが馴染めない。ある日出会ったネコに自分の願いを叶えてくれるかもしれないドラゴンがいると聞き“どうぶつ島”に渡る。

ボリス

エルマーがどうぶつ島で出会う竜の子供。人間でいうと10歳。火も水も怖い臆病な性格だが、100年毎に沈み行く島を救い、アフタードラゴンと呼ばれる勇敢なドラゴンになるために“どうぶつ島”にやってきた。

デラ

エルマーの母。自身のお店をエルマーと一緒に切り盛りしていたが、景気悪化に伴って売上が減少。お店を畳んで、ネバーグリーンシティにエルマーと引っ越してくる。最初こそ、お店の再開を目標にエルマーと励まし合っていたが……。

マクラレン

ネバーグリーンシティに引っ越してきたエルマーとデラが住むアパートの大家。毎週火曜日に家賃を徴収しに来る。迷惑な住人に悩まされてきたのか、親子にきつく当たる。

サイワ

島のどうぶつたちから頼りにされているゴリラ。100年毎に沈み行く島を救うために、ボリスを縛り上げていた。そんな中、エルマーがボリスを解放。サイワは二人を執拗に追い詰める。

クワン

猿たちを束ねる存在のマカク。どうぶつ島を救ってくれたサイワに感謝し、従っている。

タミーア

心配性のメガネザル。すぐにパニックを起こし、周りを困らせる。

アイリス

子連れのサイ。穴に落ちて困っていたところ、エルマーとボリスに出会う。

ソーダ

クジラ。ネコにお願いされ、エルマーをどうぶつ島に連れて行く。

ネコ

ネバーグリーンシティに引っ越してきたエルマーが出会う不思議なネコ。喋ることができ、親切にしてくれたお礼にドラゴンについての話をエルマーに伝える。

権威ある文学賞に選ばれた名作が長編アニメで生まれ変わる

エルマーのぼうけん 洞窟を歩くボリスとエルマー

『エルマーのぼうけん』には原作があります。それは、1948年にアメリカで出版されたルース・スタイルス・ガネットによる同名の児童文学です。

原題は「My Father’s Dragon(お父さんの竜)」。主人公エルマーの娘が語り手となり、当時9歳だった少年のエルマーが猛獣たちの暮らすどうぶつ島に渡り、捕らえられていた竜を救うまでの物語が紡がれます。

この物語は最も権威のあるアメリカの児童文学賞ニューベリー賞のオナーブックに選ばれ、世界中の子供たちに読まれました。日本でも渡辺茂男訳で1963年に福音館書店から出版され、同シリーズの『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』とともに今なお多くの人に愛されています。

そんな『エルマーのぼうけん』が、アイルランドのアニメーション制作会社「カートゥーン・サルーン」と、同社が手がけた『ブレッドウィナー』でアカデミー賞にノミネートされたノラ・トゥーミー監督の手で長編アニメーションとして生まれ変わりました。

なぜ今、再びアニメ化したのか。その理由が原作との違いから見えてくるような気がしました。

正義は一つじゃない?現代社会を生きる私たちに本作が問いかけること

エルマーのぼうけん 紅葉の森を歩くエルマーとボリス

『ブレンダンとケルズの秘密』(2009年)、『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』(2014年)、『ウルフウォーカー』(2020年)の“ケルト三部作”で注目を集めたアニメーション制作会社「カートゥーン・サルーン」。

スタジオジブリ作品に影響を受けたトム・ムーア監督が創設した同社はしばしば“ポスト・ジブリ”と称され、手がけるアニメは手描きを基調とした可愛い絵柄と、ギャップのあるシリアスなストーリーが特徴的となっています。

『エルマーのぼうけん』も原作以上に、エルマーやデラの置かれる状況がシビアです。不景気により大切な店を手放すことになった親子は、常にどんよりとした空気が流れる街で暮らさなければなりません。

道端でパフォーマンスをしてお金を稼ぐ子供たちは、同じように小遣い稼ぎをしようとするエルマーを遠ざけ、大家のマクラレン夫人は少しでも親子からお金を多く取ろうとします。エルマーの視点に立てば、確かに彼らは意地悪です。だけど、彼らもまたエルマーやデラと同じように厳しい状況にあることを考えれば、そうする理由も分かるのではないでしょうか。

どうぶつ島では、最初こそ悪者に見えるサイワにも彼なりの正義や使命があることが少しずつ見えてきます。つい人は自分と対立する誰かのことを悪者にしてしまいがちですが、相手からしてみれば自分が悪者に見えているかもしれません。

様々な正義が行き交う複雑な現代社会を生きる私たちに、この物語は「一度相手の立場になって考えてみる」ということの大切さを教えてくれます。

子供も大人も楽しめる王道の冒険記

エルマーのぼうけん ボリスに抱きつくエルマー

先ほど、「人それぞれに正義や使命がある」というお話をしましたが、エルマーにも最初はボリスを助ける目的がありました。それはボリスを助け、ひいては自分の願いを叶えてもらうため。つまりはボリスを利用しようとしていたのです。

一方、ボリスにもアフタードラゴンになるという目標があったからこそ、二人はともに行動を取ることになります。しかし、旅の中でお互いを知り、励まし、助け合いながら両者の間には本当の友情が芽生えていきます。エルマーとボリスの関係が示す、“見返りを求めない愛”には、年齢に限らず誰もが心揺さぶられること間違いありません。

大人向けの要素もある本作ですが、作りはとてもシンプルでエルマーがどうぶつ島でボリスと出会い、彼を救うことで成長していくという王道の冒険記となっています。そのため、親子で楽しめるアニメといえるでしょう。

まとめ

誰もが知る名作児童文学にアレンジを加えながら、心の温まるアニメーションに仕上げた『エルマーのぼうけん』。子供から大人まで楽しめる冒険記をぜひ休日に親子で楽しんでください!

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