2023年3月にNetflixで韓国映画『キル・ボクスン』が公開されました。
『イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜』で、さらに人気が高まったチョン・ドヨン主演の最新作として注目が集まり、公開後すぐにNetflix非英語部門の視聴ランキング1位になりました。
主人公のキル・ボクスンは、向かうところ敵なしの凄腕の殺し屋である一方、家庭では15歳の娘との向き合い方に悩むシングルマザー。そんなキル・ボクスンを中心に、殺し屋たちの愛憎入り混じった絶妙な関係と、迫力満点のアクションが存分に楽しめる作品です。
この記事では『キル・ボクスン』のあらすじとキャスト、作品の魅力を紹介します。
『キル・ボクスン』あらすじ
業界最大手の暗殺請負会社に所属し、トップクラスの実力を持つキル・ボクスン。暗殺業界に名を轟かせ、恐れられる存在ながら、思春期の娘の教育に悩むシングルマザーの顔も持っていました。殺人における天性の才能を持ち、メソッドに従って任務を遂行するキル・ボクスンは、仕事では失敗知らず。しかし、家では娘はろくに会話をしてくれず、問題を起こして学校に呼び出されることも。
暗殺者としての契約更新のタイミングで、キル・ボクスンは娘との関係を優先させるために引退を決意。しかし、最後の仕事の実行中に迷いが生じて、任務を中断することになってしまいます。その結果、同業者をはじめ暗殺業界全体から命を狙われる事態になり……。
『キル・ボクスン』の登場人物・キャスト
キル・ボクスン（チョン・ドヨン）
「キル・ボクスン」と呼ばれる、プロの殺し屋。業界最大手の暗殺請負会社「MKエンターテインメント」に所属し、暗殺者としての実力はトップクラス。しかし、その一方で「殺人は育児よりも単純」と、15歳の娘の子育てに悩むシングルマザーでもあります。
主人公 キル・ボクスンを演じるのは、人気実力派俳優のチョン・ドヨン。1992年から数々の作品に出演し、『シークレット・サンシャイン』ではカンヌ国際映画の主演女優賞を受賞。直近の出演作品である『イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜』でも、母親役を演じていました。
今作では迫力あるアクションシーンはもちろん、「優しい母親」と「クールな凄腕殺し屋」という2つの顔を使い分ける、繊細な演技にも注目です。
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チャ・ミンギュ（ソル・ギョング）
暗殺業界のルールを作った、MKエンターテインメントの代表。
キル・ボクスンの才能を見出し、育て上げた人物であり、自身も暗殺者として高い実力を持っています。
チャ代表を演じるソル・ギョングは、2000年に『ペパーミント・キャンディー』で本格的にデビュー。また、日韓共同制作の映画『力道山』では、主人公の力道山を演じています。今回の役どころは、渋い大人の魅力たっぷり。メガネとスーツというインテリな装いでの大立ち回りにも注目です。
チャ・ミンヒ（イ・ソム）
チャ代表の妹で、組織では理事を務める。
兄に対して異常な執着心があり、兄が特別扱いしているキル・ボクスンを嫌悪しています。表向きは小悪魔的な笑顔を浮かべていますが、なにをしでかすかわからない危険な雰囲気を持つ人物です。
チャ理事を演じるのは『この恋は初めてだから』『模範タクシー』などに出演していた、イ・ソム。今作では、ストーリーの起爆剤となるトリッキーなキャラクターを好演しています。
ハン・ヒソン（ク・ギョファン）
MKエンターテインメントに所属する殺し屋。高い実力を持ちながらも、なんらかの理由で代表には認められていません。先輩であるキル・ボクスンに対しては、尊敬とそれを超える感情も抱いている様子。
ヒソンを演じるのは『D.P. －脱走兵追跡官－』『新感染半島 ファイナル・ステージ』などに出演するク・ギョファン。実力が認められないことに対して葛藤しながらも、先輩を慕う、少し切ない役どころを演じます。
キル・ジェヨン（キム・シア）
キル・ボクスンの娘。母親の仕事については知りません。
タバコに手を出してみたり、母親に冷たい態度をとってみたりと思春期真っ只中。あることが原因で学校でトラブルを起こしてしまい、キル・ボクスンが呼び出されることになります。
ジェヨンを演じるのは、『キングダム：アシンの物語』やNetflixシリーズ『静かなる海』などに出演するキム・シア。存在感のある演技で、難しい役を見事に演じました。
キム・ヨンジ（イ・ヨン）
MKエンターテインメントの訓練生。プロとしてはデビュー前ですが、キル・ボクスンに憧れていて、高い能力を持っています。
ヨンジを演じるイ・ヨンは、若手の実力派俳優。『イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜』ではチョン・ドヨン演じるナム・ヘンソンの若い頃を演じています。
若い頃のチャ・ミンギュ（イ・ジェウク）
若き日のチャ代表を演じるのはイ・ジェウク。2022年公開の『還魂』で韓国内外からの人気を集めた若手俳優です。出演シーンは短いものの、高い演技力と抜群の存在感をみせてくれます。
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若い頃のキル・ボクスン（パク・セヒョン）
子供時代のキル・ボクスンを演じるのは、パク・セヒョン。わずかなシーンですが、目が逸らせないほどの強烈な印象を与えます。
スグン（キム・ギチョン）
元・殺し屋。キル・ボクスンやヒソンたちが集まる飲食店の店長。
ヒョンチョル（チェ・ビョンモ）
他社の暗殺請負企業で働く殺し屋。キル・ボクスンの飲み仲間。
グァンアン（パク・グァンジェ）
他社の暗殺請負企業で働く殺し屋。キル・ボクスンの飲み仲間。
ユンソク（チャン・インソプ）
他社の暗殺請負企業で働く殺し屋。キル・ボクスンの飲み仲間で、彼女の仕事っぷりに憧れている。
シン軍曹（キム・ソンオ）
他社の暗殺請負企業の代表。
織田真一郎（ファン・ジョンミン）
トップ俳優のファン・ジョンミンが、在日コリアン2世のヤクザとして登場します。
2005年の映画『ユア・マイ・サンシャイン』での、チョン・ドヨンと共演した縁があり、特別出演しています。
『キル・ボクスン』のみどころ
渾身のアクションシーン、それらを際立たせる大胆な演出
この作品の見どころは、やはりアクションシーンです。
斧・刀・短刀・銃などあらゆる武器を使いこなし、強敵や多数の敵とやり合うキル・ボクスン。派手なアクションを繰り広げる一方で、表情が繊細で魅力的。50歳でアクションシーンに挑戦したチョン・ドヨンの、気迫に満ちた演技から目が離せません。
もちろん、彼女の周りの俳優陣も一級品のアクションを披露してくれます。特にソル・ギョング演じるチャ代表の、大勢の敵を相手にした大立ち回りや、圧倒的な力を見せつけるシーンなどにも注目。
そして、そんなアクションシーンを、より鮮烈に描き出す演出と、大胆なカメラワークが素晴らしい。あらゆる技法を効果的に使いながら、名優たちの鮮やかな動きをスタイリッシュに魅せてくれます。
二面性のある斬新な設定
本作のストーリーの魅力は、やはりギャップのある設定。
主人公キル・ボクスンは凄腕の殺し屋ですが、娘の前では1人の母親。娘のタバコを発見したり、抱えている秘密を打ち明けられたり、そのたびにどう声をかけるべきか頭を悩ませます。殺し屋としてはミッション完了まで最短距離で最適解を導きだせるキル・ボクスンが、子育てに苦悩する様子が描かれているのです。
暗殺請負会社が秩序を持って暗殺を遂行するという、ストーリー設定も斬新です。作中の暗殺業界では、請け負った暗殺依頼のことを「作品」と呼び、プロの殺し屋たちに等級をつけて管理しています。弱小企業の殺し屋が愚痴をもらしたり、超A級の殺し屋が契約更新について考えたり、そんな設定も楽しめる要素になっています。
愛憎入り混じった、殺し屋たちの人間関係
大胆なアクションシーンとは裏腹に、登場人物たちの心の内が描かれるシーンは静かに、繊細に描かれます。なかでも、キル・ボクスンとチャ代表が出会ったときの回想シーンは大変印象的でした。ほかのキャラクターたちも、表情や会話の端々にそれぞれが腹の底に抱えている感情が表れていて、それらがだんだんと浮き彫りになっていく様子は視聴者をゾクゾクさせてくれます。
それぞれの愛憎入り混じった感情から、だんだんと窮地に追い詰められていくキル・ボクスン。仕事でも家庭でも次々と事件が発生し、テンポの良いストーリーで飽きることなく作品を楽しむことができます。
まとめ
凄腕の殺し屋でありシングルマザーという、二面性を持った主人公の葛藤を繊細に描きながらも、豪快でスタイリッシュなアクションシーンが魅力的な『キル・ボクスン』。世界から注目を浴びる、最新の韓国ノワール映画です。ぜひ、Netflixオリジナル映画『キル・ボクスン』をお楽しみください。
今回の記事は「eo光チャンネル」で放送中の番組『Netflix Freaks』の連動企画。こちらの動画も合わせてご覧ください！
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